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内藤礼「母型」展@発電所美術館 [現代美術]

内藤礼さんの「母型」展に行ってきました。

少し前に訪れた直島で曜日があわなくて
内藤さんの「ぎんざ」を観ることができなかったことも影響していたと思うのですが、
さらにいえば発電所美術館という場所にも興味があったので
行ってみたいと思っていました。

とはいえ、発電所美術館は富山県で、
かなり遠いこともあり結構迷ったのですが、
結局行くことにしました。

きっと発電所美術館じゃなかったら行ってなかったかもしれなくて、
それだけ発電所美術館という場所に惹かれていました。
内藤さんの作品を他の場所でいつか観ることができても、
発電所美術館での今回の作品は2度と観れない気がして、
やっぱり発電所美術館での作品が観たいと思いました。

発電所美術館は取り壊される予定だった大正時代の水力発電所を
美術館として再生させた施設です。
タービンや導水管がそのまま残った展示スペースは、
強い場所の記憶を持つ独特の空間です。
この空間にあわせて作られた今回の作品は、
発電所美術館でしか観ることのできない作品です。

美術館に入ると、大変大きな展示空間であるにも関わらず、
いくつか写真作品があるものの、他にはあまり作品らしきものが見あたりません。

しかし、しばらく空間に身を置くと、
水の滴る小さな音が時々聴こえることに気づきます。

さらに注意深く聴くと少し離れた場所からも聴こえ、
近づくと水滴が床に溜まっています。

他にも、光の加減で見えたり見えなかったりするのですが、
細い絹糸が空間を横断するように張られていることにも気づきます。

じつはこれらが作品です。

会場に溶け込むような繊細な作品は、
発電所美術館という独特な場所の力も得て、
崇高な空間を作り出していました。

今回の発電所美術館での展示では、
「母型」と呼ばれる水滴の作品と「恩寵」と呼ばれる絹糸の作品の他に、
「世界に秘密を送り返す」というペンで書かれた作品があるのですが、
「世界に秘密を送り返す」は結局見つけることができませんでした。
どんな作品だったんだろうと想像しながら、
余韻に浸っています。

富山までの旅、
発電所美術館という場所も含めて、
忘れられない作品となりそうです。

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内藤礼「母型」@入善町 下山芸術の森 発電所美術館
2007/10/6-12/16
http://www.town.nyuzen.toyama.jp/nizayama/
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黒部の山々は雪をかぶっていました。
移動中は越後湯沢で大量の雪を見ました。
昨年は関東地方で雪がほとんど降らなかったので、
久しぶりの雪に胸が高ぶりました。

地上にひとつの場所を

地上にひとつの場所を

  • 作者: 内藤 礼
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 大型本

タグ:内藤礼

「金刀比羅宮 書院の美」展@金刀比羅宮 [日本美術]

香川県を旅行した際、「金刀比羅宮 書院の美」展を観がてら、
こんぴらさんにも行ってきました。

実は東京芸術大学美術館でも同じ展示を観たのですが、
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2007-08-18
実際に襖絵の使用されている場所で見てみたいという思いもあり、
行ってきました。

東京芸術大学美術館での展示も非常に工夫されていて、
実際の書院のスタイルをうまく再現していたのですが、
やはり、金刀比羅宮の書院で見ると、
印象が違うように感じました。

高橋由一館で高橋由一の絵も観ることができて、
こちらもよかったです。
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-03-14

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「金刀比羅宮 書院の美」展@金刀比羅宮
2007/10/1~2008/1/31(途中休止期間有)
 http://www.konpira.or.jp/museum/main/index.html
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四国こんぴら歌舞伎大芝居の会場である金毘羅大芝居も見学してきました。
チケット争奪大変そうですが、いつか観てみたいです。

 四国こんぴら歌舞伎大芝居 http://www.town.kotohira.kagawa.jp/kabuki/


猪熊弦一郎デザイン 三越包装紙 [20世紀美術(日本)]

猪熊弦一郎現代美術館に先日行ってきたのですが、
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2007-12-15
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2007-12-15-1
猪熊弦一郎さんといえば、三越の包装紙が有名です。

「華ひらく」という名前が付いています。

西武の田中一光さんとか、最近では松屋の原研哉さんなど
百貨店はデザイナーによるオリジナル包装紙を用いるのが主流ですが、
百貨店によるオリジナル包装紙は、
三越のものが最初のようです。
50年以上経ってますが、まったく色あせないデザインですね。

 三越 http://www.mitsukoshi.co.jp/spcl/wedding/feature/11/

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東京近郊にお住まいの方は、
上野駅の壁画が頭に浮かぶかもしれません。

猪熊弦一郎さんによる「自由」という作品です。

いのくまさん

いのくまさん

  • 作者: 谷川 俊太郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 大型本

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 ミュージアムグッズ [20世紀美術(日本)]

美術館に行く楽しみといえば、
作品を観るのも当然なのですが、
他にも建築を観察してみたり、
レストランに立ち寄ってみたりといろいろ楽しめます。
そして、ミュージアムグッズも見逃せません。

各美術館で個性的なミュージアムグッズが用意されているので、
結構楽しめます。

中でも、最近行った丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の
ミュージアムグッズの充実ぶりはすごかったです。
数の多さだけでなくデザインの良さも目を引きます。

写真の馬のビニールバック以外にも、
ハンカチや便箋と封筒とか、
ついつい色々買って帰ってきました。


カードも素敵です。

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 http://www.mimoca.org/

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ミュージアムグッズといえば、
  ↓DNPのミュージアムグッズを紹介したページはこちら
  http://www.dnp.co.jp/artscape/goods/top.html
   ↓丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の紹介ページはこちら
http://www.dnp.co.jp/artscape/goods/0709_mimoca.html

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美術館から帰ってきたら、
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のミュージアムグッズを紹介した本を見つけました。

他にもいろんなみやげものが紹介されているのですが、
みやげを求めて旅に行きたくなる本でした。
ぼくのように旅先でみやげを探すのが好きな方には
かなりおススメです。
乙女みやげ

乙女みやげ

  • 作者: 甲斐 みのり
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/11/19
  • メディア: 単行本

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 [建築]

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に行ってきました。
谷口吉生さん設計の美術館にも興味があったし、
猪熊弦一郎さんの作品にも興味があったので。

谷口吉生さんといえば、
藤森照信さんが「背筋のあたりにテンションが走る」と表現されているように
凛として緊張感のある空間を作り出される建築家です。
そんな緊張感ある空間に
猪熊弦一郎さんの遊び心に溢れた立体作品が
随所に配置されています。

谷口さんの建築デザインと猪熊さんのアートが
お互いの役目を各々見事に果たしながら
すばらしい空間を作り出しているなと思いました。






この壁画にはすごい惹かれます。

 過去の谷口吉生さん関連記事:
    http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-04-25-1
    http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-08-21-1

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 http://www.mimoca.org/


イサムノグチ庭園美術館 [イサム・ノグチ]

イサムノグチのモエレ沼公園に行って以来、
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-07-08-2
次に行きたいと思っていたイサムノグチ庭園美術館に行ってきました。

もともと住居と工房だった庭園美術館は、
モエレ沼公園のように地球を感じる広さはありませんが、
庭園美術館に多数配置された石の彫刻の持つ深い世界は
モエレ沼公園に負けない広がりのある世界でした。
東京都現代美術館で出会ったエナジー・ヴォイドとも
本来の住居である蔵で再会できました。
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-10-07


写真の五剣山や屋島などの恵まれた牟礼の景色を借景としているのも、
広がりを感じる理由のようです。

次はNYのガーデン・ミュージアムに、、、いつか行けるかな?

 イサムノグチ庭園美術館 http://www.isamunoguchi.or.jp/gamen/home.htm

  イサム・ノグチ関連の過去の記事は左のカテゴリよりご覧ください。


タグ:isamu noguchi

直島の建築 [建築]

直島の建築で一番有名なのは安藤忠雄さんのもの。
安藤建築を見るために直島に訪れる方も多いと思います。
地中美術館など建築自体が芸術作品のような美術館です。

ベネッセハウスのミュージアムから専用モノレールで行く
オーバルは宿泊者専用のエリアなのですが、
楕円形の池と吹抜けによって
光と水による効果的な空間が作り出されていました。

山の上にあるので1面に広がる海の景色もすばらしいです。

Tadao Ando at Naoshima

Tadao Ando at Naoshima

  • 作者: Philip Jodidio
  • 出版社/メーカー: Rizzoli Intl Pubns
  • 発売日: 2006/03/21
  • メディア: ハードカバー

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ところで、安藤忠雄さんの設計したベネッセハウス・ミュージアムに
あの007が上陸していることを知りました。
映画ではなく小説での話なのですが、興味を持って読んでみました。
007のアクションだけでなく、外国人の眼で見た日本像も楽しめます。
007がタイガー田中と待ち合わせる場所が渋谷ハチ公前だったりと、
奇妙な設定が随所に見られるのも面白いです。
なお、作者はイアン・フレミングではなくレイモンド・ベンスンです。

007/赤い刺青の男―ジェイムズ・ボンド・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

007/赤い刺青の男―ジェイムズ・ボンド・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 作者: レイモンド ベンスン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 単行本

 直島の宮ノ浦港には007記念館がありました。
  007記念館 http://www.007museum.jp/

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直島の玄関口宮ノ浦港に最近できたのが海の駅「なおしま」です。
設計はSANAA(妹島和世+西島立衛)で、
金沢21世紀美術館と同様に
高さが抑えられていたり、透明なガラスが用いられていたりと、
存在感の希薄な建築は周辺の景色に溶け込んで馴染んでいました。


近くには妹島和世さんデザインと思われる椅子(スツール)がありました。

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直島町役場は過去の建築様式の引用が流行った80年代の建築。
西洋建築ではなく桃山時代の建築をモチーフにしているのが個性的で目を引きます。
設計は石井和絋さんです。

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直島町役場に負けずに目を引くのが、
家プロジェクトの一つ大竹伸朗さんの「はいしゃ」です。

あのスクラップブックを立体的に再現したかのような世界で、
全景展で感じたパワーを思い出しました。
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2006-11-28


加納容子「のれん」プロジェクト@直島 [現代美術]

アートの展示方法の中でも、
比較的広いエリアに作品を点在させる方法は、
鑑賞する側にとっては非効率的ですが、
作品をたどる過程で展示された場所も同時に鑑賞できると思えば、
プラスの効果も十分ありそうです。

直島スタンダード展と呼ばれるプロジェクトも
直島中に作品を分散して展示するもので、
上記のような展示の先駆け的な存在かなと思います。

直島スタンダードはこれまで2回開催されているのですが、
残念ながら行ったことがありません。
ただ、家プロジェクトなどの主要な作品は残っていて、
街を巡りながら見ることができます。

また、家プロジェクト以外にもいくつかの作品が残っていて、
例えば直島スタンダードの第1回目で行われた
加納容子さんの「のれん」プロジェクトもその一つです。

「のれん」プロジェクトは
各家の屋号や歴史などを元にデザインされたのれんを
家々の玄関口に掛けるプロジェクトですが、
スタンダード展終了後も掛けてくださる家が多いようで、
街を歩いていると目に留まります。

そんなのれんに導かれながら街そのものを鑑賞するのも、
また楽しいです。






 
 スタンダード展 http://www.naoshima-is.co.jp/archive/standard/content.html
 スタンダード2展 http://www.museum.or.jp/announce/20061006/index.html#report


杉本博司「タイム・エクスポーズド」@直島 [写真]


直島には杉本博司さんの作品がいくつかあって、
Seascapesシリーズも意外な場所に展示されていました。

杉本博司さんのSeascapesシリーズは
水平線で2分された海と空だけを撮影した写真です。

 「古代人の見た風景を、現代の人間が同じように見ることは可能か」
との杉本さんの言葉どおり、
その他の要素を一切排除した風景は、
国境だけでなく時間も越えた普遍的な風景です。
ミニマルなのに、というよりミニマルだからこそ
広がりを感じる作品です。

杉本さんによる家プロジェクト・護王神社を見学した際、
墳墓である石室から出てきた時、
最初に見えた風景もSeascapesと同じ風景でした。

なんだか深いです。

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苔のむすまで

苔のむすまで

  • 作者: 杉本 博司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/08/24
  • メディア: 単行本
HIROSHI SUGIMOTO

HIROSHI SUGIMOTO

  • 作者: 杉本 博司
  • 出版社/メーカー: アートデザインパブリッシング
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 大型本

  過去の杉本博司さん関 連記事:
   http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-10-15
   http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2006-12-13
   


タグ:杉本博司

ウォルター・デ・マリア「見えて/見えず 知って/知れず」@直島 [現代美術]

アートの中には展示されている場所が大事で、
その場に行ってみることが重要な作品があります。
アースワークやランド・アートと呼ばれる分野の作品もそのような作品で、
ロバート・スミッソンやクリストとジャンヌ=クロードの作品などが有名です。
ウォルター・デ・マリアの「稲妻の原野」も有名な作品で、
広大な原野に400本のステンレス棒が立っていて、
稲妻が落ちるのを観察する作品ですが、
実際見に行くのも大変で、なかなか実物を見ることができません。
  http://www.lightningfield.org/

そんなウォルター・デ・マリアの作品が直島にあるというので、
実際にその場所に行って見てみたいと思ったのも、
直島に行った理由のひとつです。

直島にあるのはウォルター・デ・マリアの
「見えて/見えず 知って/知れず(Seen/Unseen Known/Unknown)」
というタイトルの作品です。

球体の花崗岩と金色に塗られた木製の三角柱などからなる作品ですが、
入り口のやや狭い細長い空間に配置されているため、
外からも中からも作品の全貌を一度に見ることがなかなかできません。

そのため、いろいろ動き回りながら色んな場所や角度から作品をみることになるのですが、
そんな行為も作品の一部のような気がしました。
実際その場所に行って見ることで、
「見えて/見えず 知って/知れず」というタイトルにこめられた意味の一部を
感じることができた気がします。

 ベネッセアートサイト直島 http://www.naoshima-is.co.jp/index.html

地中美術館にもウォルター・デ・マリアの作品がありましたが、
やはり実際に行って体感することが大事な作品だと思いました。


タグ:Walter De Maria

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