「いみありげなしみ」@東京国立近代美術館 ギャラリー4 [20世紀美術(日本)]
東京国立近代美術館の常設展示のギャラリー4で開催中の
「いみありげなしみ」展に行ってきました。
人がしみを見た場合、
しみそのものを見る以上に
きっといろいろ考えてしまうと思います。
なぜしみができたのか?
いったい誰がつけたものか?
しみを見るということは、
通常の絵画(静物画とか)を見るのと異なり、
しみのできた経緯やしみをつけた人の存在を
ひどく意識させられます。
そして、しみの背後に透けて見える経緯や人の存在は
時に思いがけない物語を想像させます。
しみというものは
通常の絵画以上に人の想像力を刺激する存在のようです。
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展示作品の中でも
もっともキーとなる作品は
榎倉康二さんの作品だと思います。
例えば、大きなカーテンにしみのつけられた作品
そして、フェルトに2つのしみつけられた作品
どちらもしみが大変気になる存在ですが、
よくみると複数のしみが
どれも同じ形をしていることに気づきます。
偶然であるはずのしみが意図的と気づいた瞬間、
背後にいる作者の存在がぐっと浮かび上がってきます。
とても想像力を刺激する作品だと思います。
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「いみありげなしみ」@東京国立近代美術館 ギャラリー4
2010/4/10-8/8
http://www.momat.go.jp/Honkan/Meaningful_Stain/index.html
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過去の榎倉康二さん関連の記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2005-01-30-1 (榎倉康二展@東京都現代美術館)
伊藤若冲便箋 花蟲帖「木蓮」 [日本美術]
伊藤若冲の花蟲帖の便箋です。
花の美しさだけを強調することなく
リアルに描いた花蟲帖は
単に美しいだけよりも惹きつけるものがある気がします。
花蟲帖の中から10種類くらい選ばれて便箋になっていましたが、
その中から「木蓮」を買ってきました。
これは、京都の細見美術館にて購入しましたが、
細見美術館のARTCUBE SHOPには
結構気になるものがいっぱい売っています。
以前、神坂雪佳の手ぬぐい帳を紹介しましたが、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-03-28
これもARTCUBE SHOPで購入しました。
銀座の鳩居堂にもあるという情報があったので見てきたところ、
確かに「紫陽花」など2種が売られていました。
季節に合わせて変わるのかもしれませんね。
同柄の封筒も売られています。
細見美術館ARTCUBE SHOP http://artcube-kyoto.co.jp/artcube_shop/artcubeshop.htm
伊藤若冲画 「象と鯨図屏風」 @千葉市美術館 「伊藤若冲 アナザーワールド」 [日本美術]
伊藤若冲の展覧会に行ってきました。
展示替えの多い展覧会だったのですが、
わざわざ会期後半を狙って行ってきたのは、
「象と鯨図屏風」がお目当てです。
比較的最近発見されたこの画は
当時新聞でも記事になっていて、
とても気になっていたのです。
繊細さと大胆さをあわせ持つ若冲らしさを
堪能してきました。
過去の伊藤若冲関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-03-20 (石峰寺の石仏)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-08-18 (伊藤若冲のぬり絵)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2006-03-11 (プライス・コレクション)
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「伊藤若冲 アナザーワールド」 @千葉市美術館
2010/5/22-6/27
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0522/0522.html
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↓いつも紹介している本ですが、
若冲をはじめとする江戸絵画の魅力を紹介した本です。
BRUTUS (ブルータス) 2006年 8/15号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 雑誌
以前別の記事で紹介した若冲のぬり絵とは
違うぬり絵を発見しました(↓)。
今回も出品されていた若冲のモザイク画を見ると
やはりぬり絵がしたくなる人が一定数いるんでしょうね。
ぼくもその一人だったりします。
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」展 @東京国立近代美術館 [建築]
<中村竜治/とうもろこし畑>
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」展に行ってきました。
展覧会の概要には以下のように書かれています。
”三種類の多面体でつくられた空間、「空間」が生滅する場、
動物にも見える東屋(あずまや)、模型の一日を見せる映像
空間、繊細(フラジャイル)な構造体、スケール感覚が不思
議な広場など、多種多様なインスタレーションを通して、建
築はどこにあるのか、ぜひ捜してみてください。”
「建築はどこにあるの?」を探すことを通じて
「建築って何だったけ?」を考える展覧会でもあるような気がします。
柱と屋根という単純な構成を建築の出発点としたとしても、
その構造、囲まれた空間、置かれた場、社会的な役割など
様々な要素が建築には含まれているような気がします。
建築家の作った7つのインスタレーションを見ながら
色々と考えました。
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ところで、
この展覧会の特徴として”写真撮影可能”ということがあります。
海外ではよくある話ですが、
日本ではまだまだめずらしいような気がします。
個人的には写真撮影可能な展覧会はもっと多くあってもいいと思います。
特に現代美術のような開かれた作品は。
写真を撮ることで新たな発見をしながら
より自由に作品を鑑賞できるような気がします。
多くの人が写真を撮影されていたので、
もし行かれる場合はカメラを忘れずに。
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「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」展 @東京国立近代美術館
2010/4/29-8/8
http://www.momat.go.jp/Honkan/where_is_architecture/index.html
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<中山英之/草原の大きな扉>
<鈴木了二/物質試行 51 DUBHOUSE>
<内藤廣/赤縞>
<菊地宏/ある部屋の一日>
<伊東豊雄/うちのうちのうち>
<アトリエ・ワン/まちあわせ>
(建築はどこにあるの?7つのインスタレーション/東京国立近代美術館 にて撮影)
パット・メセニー「オーケストリオン」ツアー@すみだトリフォニーホール [音楽]
パット・メセニーの「オーケストリオン」ツアーに
行ってきました。
オーケストリオンとは、
元々19世紀末から20世紀初頭に実在した
複数の楽器を自動で同時に演奏する装置です。
オルゴールのように曲に合わせてパンチングされた穴を
空気が通ることでピアノや打楽器などが自動で演奏されます。
オーケストリオンの登場前は
音楽を聴くにはライブ演奏を聴きに行くしかなかったのが、
オーケストリオンの登場以降は
オーケストリオンにコインを入れるといつでも好きな時に
演奏を聴けるようになりました。
しかし、その後のレコードの登場で
オーケストリオンは衰退していきます。
ライブ演奏をレコードで簡単に再現できる時代に、
ライブ演奏の代替手段としてのオーケストリオンは
存在理由がなくなりました。
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今回、パット・メセニーは
オーケストリオンを現代の技術で蘇らせました。
そして、まず
オーケストリオンによる自動演奏をバックに
CDを製作しました。
予め自ら楽器を演奏したうえで
オーケストリオンに演奏させるという手順をとったようで、
重ね撮りの可能な現在の技術から考えると、
非常に手間のかかる方法をわざわざとっています。
なぜ今さら?という思いもありますが、
一方で、自動演奏装置・オーケストリオンの存在には
ワクワクするような感じを持ちました。
見たことも聴いたこともない
自動演奏装置という存在に
非常に惹かれるものがあったのだと思います。
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その後、パット・メセニーは
オーケストリオンを引き連れてツアーを開始し、
日本にもやってきました。
そして、とうとうオーケストリオンによる自動演奏を
聴くことができました。
舞台上にはパット・メセニー一人しかいないのに
舞台を埋め尽くすように置かれた様々な楽器が
生で自動演奏される姿は圧巻でした。
しかも、今回登場したオーケストリオンは
昔のオーケストリオンと違って
即興演奏にも対応できるということで
とても不思議な気分でした。
即興時の楽器への指示はすべて
その場その場でパット・メセニーが行っているということで、
完璧に協調しながら自動演奏を行うオーケストリオンは
パット・メセニーの良きパートナーというより
パット・メセニーそのものでした。
↓にはパット・メセニー自身が語っている公式動画へのリンクが
ありますのでぜひご覧ください
オーケストリオンも登場しています
http://www.triphony.com/concert/20100611topics.php
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パット・メセニー「オーケストリオン」ツアー@すみだトリフォニーホール
2010/6/11-12
http://www.triphony.com/concert/20100611topics.php
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沖縄 照屋窯の家型水滴 [やきもの]
沖縄の照屋窯の家型水滴です。
印花(イングァー)という花のような印が
沖縄らしさを感じさせます。
李朝の白磁にも
同様な家型水滴があるのを最近見かけましたが、
こういう小さいものにはすごく惹かれます。
照屋窯関連の過去の記事;
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26(照屋窯の鉢)
沖縄読谷 横田屋窯の香合 [やきもの]
沖縄読谷村の横田屋窯・知花さんによる香合です。
面取りされた面に
飴、藍、草呉須の3色の釉薬による縞模様が
描き分けられています。
モダンで大胆なデザインですが、
釉薬の落ち着いた色合いのおかげで
程よいバランスを保っている気がします。
面取りの微妙なずれが生むやや不均一なフォルムも
深い存在感を生み出しているような気がして
惹かれます。
横田屋窯関連の過去の記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-12-17
郡司慶子さんの箸置き [やきもの]
郡司慶子さんの箸置きです。
左右対称にデザイン化されたがセミとチョウが
型抜きで作られています。
こう言うと機械的に感じますが、
実際には手仕事の温かさを感じさせてくれる箸置きです、
郡司さんご夫婦の仕事への姿勢を反映しているように感じます。
郡司さん関連の過去の記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-05-13
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-06-08
↓こちらは以前にも紹介したのですが、郡司慶子さん郡司庸久さんの作品が表紙になっている雑誌です。エスクァイア日本版は残念ながら廃刊してしまいましたが、是非探してみてください。
Esquire (エスクァイア) 日本版 2008年 04月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: エスクァイア マガジン ジャパン
- 発売日: 2008/02/23
- メディア: 雑誌
「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」 @韓国文化院 [民藝]
「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」を観に
韓国文化院に行ってきました。
柳宗悦は、
雑誌白樺で活躍していた当時、
ロダンの彫刻を見に訪れた浅川伯教より土産としてもらった
染付秋草文面取壺に導かれて
朝鮮を何度も訪れ工芸品を収集し始めます。
柳宗悦が愛して主に収集した工芸品は
例えば高麗時代の青磁のような高級品よりも
日常品として用いられた朝鮮時代(李朝)の器でした。
その後、柳宗悦は
朝鮮で日常品の美を発見した眼により、
日本で民藝の美を見出すことになります。
日本にいるときには見えなかったものが、
異文化に触れることで見えてくることがあります。
柳宗悦が民藝を見出すには、
朝鮮の工芸品との出会いが必要だったように思います。
展示会では柳宗悦が収集した
主に朝鮮時代の陶磁器、木工品、近郊品などが
紹介されています。
どれも華麗な美というよりも
静かな力強さを持つ美を備えていました。
今改めて朝鮮時代の工芸品を見ることで、
柳宗悦の通ってきた道を辿ることができたような気がします。
展示会では工芸品のほかに
数多くの写真パネルや自筆原稿なども展示されていて
柳宗悦の思想や人物にも触れることができる構成となっていました。
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「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」 @韓国文化院
2010/6/9-6/12
http://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?number=1080
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日本民藝館では関連催事として「朝鮮陶磁」展が開催中です。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26
また、日本民藝館で7/6-9/5開催の「日本の染」展では
今回の「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」が再現されるようです。
行き逃した方は是非。
日本民藝館 http://www.mingeikan.or.jp/home.html
伊藤丈浩さんの三彩蓋物 [やきもの]
益子で活躍される伊藤丈浩さんの三彩の蓋物です。
伊藤さんはスリップウェア作品を多く作られていますが、
三彩の作品もたまに見かけることがあって、
気になっていました。
三彩は唐時代からの伝統的な文様ですが、
シンプルですっきりした現代的なデザインの蓋物との組み合わせは
新鮮です。
伊藤丈浩さんの過去の関連記事
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-05-10 (スリップウェア)
G+OO http://g-plus-mashiko.com/index.html