瀬戸内国際芸術祭2010 男木島の旅 [現代美術]
瀬戸内国際芸術祭に行ってきました。
前回、女木島の記事を書いたので、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-08-22
今回は男木島を紹介したいと思います。
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眞壁陸二「wallally」
男木島は比較的狭いエリアに作品が点在しているので、歩いて廻れます。
他の島同様、空家を利用した展示がメインですが、
男木島では街角にも多くの作品が点在しています。
歩きながら作品を発見するのも楽しいです。
眞壁陸二さんの壁画も島の随所で発見できました。
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谷口智子「オルガン」
壁画だけでなくパイプも島のあちこちで発見できます。
谷口智子さんの作品です。
パイプからはオルガンの音が聞こえたり、
覗くと島の景色が見えたりします。
一番最初の写真もパイプを覗いた景色です。
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男木島は坂道や狭い路地が多く、
車や自転車はあまり役に立たなさそうです。
そんな島で活躍しているのが乳母車(オンバ)です。
街角にはオンバ・ファクトリーによる
素敵なオンバが溢れていました。
オンバ・ファクトリーは今回の芸術祭にあわせて
オンバの修理・改造をするプロジェクトです。
一つ一つが個性的なオンバは
発見するとうれしい気分になります。
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大岩オスカール「大岩島」
港近くの旧公民館には
大岩オスカールさんが海と島をイメージした絵画を展示しています。
そんなに大きくはない公民館に鏡をうまく利用して
驚くほど拡がりのある世界を作り出していました。
いつものように少し物語性を感じさせます。
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川島猛とドリーム・フレンズ「想い出玉が集まる場所」
香川県出身でNYで活躍中の川島猛さんは
男木島の各家庭に眠る捨てられない手紙や日記を材料に
「想い出玉」を作成しました。
参加者が手紙や日記などを探すところから作品は始まっていると思います。
記憶を呼び覚ますきっかけを与えてくれるとともに、
記憶を形にとどめることができる作品です。
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松本秋則「音の風景(瀬戸内編)」
松本秋則さんは竹筒や鈴などをうまく利用して
音の調べを奏でるとともに見た目も美しいオブジェを作成し、
独自の空間を作り出していました。
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高橋治希「SEA VINE」
窓より渦巻くように空間を埋める植物のオブジェがとてもきれいです。
実はよくみると陶磁器性です。
陶磁器にしては繊細な形が緊張感のある美しさを作り出しています。
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男木島には他にも作品がありますが
作品は比較的狭い範囲にあるので、
全作品見ることが可能だと思います。
坂道が多いので、ゆっくり歩きながら
巡るのがよさそうです。
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瀬戸内国際芸術祭2010
2010/7/19-10/31
http://setouchi-artfest.jp/
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美術手帖6月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック
- 作者:
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2010/06/15
- メディア: 雑誌
Discover Japan (ディスカバー・ジャパン) 2010年 08月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2010/07/06
- メディア: 雑誌
瀬戸内国際芸術祭2010 女木島の旅 [現代美術]
瀬戸内国際芸術祭2010に行ってきました。
瀬戸内国際芸術祭は瀬戸内海に浮かぶ
直島、犬島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島
の7つの島からなるアートの祭典です。
今回は直島など5つの島を巡ってきましたが、
ここでは女木島の旅の紹介をします。
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女木島へは高松よりフェリーに乗って20分ほどで着きます。
港では木村崇人さんのカモメの風見鶏の作品が出迎えてくれます。
木村崇人「カモメの駐車場」
穏やかだと思っていた瀬戸内海は
意外に風が強いことに気づかされます。
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越後妻有にも鏡を用いた作品で参加されていた行武治美さんが
瀬戸内でも鏡の作品で参加されていました。
改修した納屋に鏡を張り巡らせて
美しい空間を作り出しています。
行武治美「均衡」
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金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」が有名な
レアンドロ・エルリッヒさんも参加されています。
「スイミング・プール」同様に不思議な世界を体験できます。
詳しくはネタばれになるので述べられませんが、
ぜひ体験してみてください。
レアンドロ・エルリッヒ「不在の存在」
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福武ハウスも女木島も出展。
杉本博司さん、ビル・ヴィオラさん、森村泰昌さんなどなどの個展を
国内外のギャラリーが開催しています。
瀬戸内という土地柄を意識した展示もいくつかありました。
石川直樹さんは「島は、山」というタイトルで
島はもともと山ではないかという問いをベースに写真を展示しています。
考えてみれば島という文字には山が含まれています。
そんなことに気づかされる展示でした。
ジュン・ヤンさんのファントム・アイランドも
島にまつわる映像作品です。
あと、森村泰昌さんの「動く電機服2010(田中敦子のために)」でモチーフになっている
田中敦子さんの電気服は確か高松市美術館の収蔵品だった気がします。
高松市美術館は日本の前衛芸術のコレクションが豊富な美術館です。
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女木島には鬼ヶ島大洞窟という洞窟があります。
洞窟は鍾乳洞のような自然なものではなく、
実は人工的に作られたものだそうです。
昔、海賊(=鬼)がねぐらとして使用していたものだそうで、
洞窟ガイドの方がいろいろと案内してくださいました。
ちょっとした冒険気分です。
洞窟周辺は展望もよいです。
洞窟内と周辺にはサンジャ・サソさんとロルフ・ユリアスさんの作品もありました。
サンジャ・サソ「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」
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禿鷹墳上「20世紀的回想」
禿鷹墳上さんの作品は海辺にあります。
芸術祭と海水浴で異常な賑わいの島でしたが、
日も暮れ始める頃には静かな島に戻っていました。
そんな静かさ頃合いが禿鷹墳上さんの作品に合っているなと思いました。
時折聴こえてくるかすかなピアノの音がいいです。
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最初に紹介したカモメの作品で参加している木村崇人さんの
木もれ陽プロジェクトが夜開催していました。
星の形の木もれ陽をつかまえるプロジェクトです。
せっかくなので捕まえてきました。
木村崇人「木もれ陽プロジェクト《星の島》」
ちなみに、島からは星がよく見えました。
都会に比べて灯りが少ないからだと思います。
フェリーの出発までの待ち時間、
寝転がって星を見ながら過ごすのもいいです。
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瀬戸内国際芸術祭2010
2010/7/19-10/31
http://setouchi-artfest.jp/
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美術手帖6月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック
- 作者:
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2010/06/15
- メディア: 雑誌
Discover Japan (ディスカバー・ジャパン) 2010年 08月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2010/07/06
- メディア: 雑誌
内藤礼「このことを」 @直島・家プロジェクト「きんざ」 [現代美術]
2回目の直島に行ってきました。
改めて訪れた理由の一つは新しく出来た李禹煥美術館に行くこと。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-08-13
そして、もう一つは前回行き逃した内藤礼さんの作品に訪れることでした。
直島の本村港付近を舞台にした家プロジェクトのうち、
内藤礼さんの作品「このことを」は
15分間の時間指定で建物内に一人づつ入って鑑賞する作品です。
建物内は薄暗く、
建物下部の隙間から入るわずかな自然光を頼りに
作品と一人向き合います。
繊細な細工が床に配置されているのがまず眼に入りますが、
暗さに眼が慣れてくると、
建物の奥で細い糸がかすかに揺れているのに気づきます。
眼を上に上げると細い糸やビーズなどを
さらにいくつかの場所で見つけることができます。
一見何も無いようにみえる空間が、
実は繊細に作られた空間だということが分かります。
作品に身を置きながら、
水戸芸術館で体験したジェームズ・タレルの「ソフト・セル」
という作品を思い出しました。
「ソフト・セル」は遮光された無反響の小さな部屋に一人づつ入って、
約10分間闇を体験する作品です。
外界から完全に断絶された空間では、
鑑賞者はおのずと全身の感覚を研ぎ澄まされ、内省へと導かれます。
内藤さんの作品は完全な闇ではありませんが、
なぜかタレルの作品同様、内省へと導かれる気がしました。
繊細に作られた空間に包まれながら
最後は自分と向き合います。
過去の内藤礼さん関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-12-21 (内藤礼「母型」展@発電所美術館)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-04-11 (内藤礼展@神奈川県立近代美術館)
家プロジェクト「きんざ」http://www.benesse-artsite.jp/arthouse/kinza.html
改めて訪れた理由の一つは新しく出来た李禹煥美術館に行くこと。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-08-13
そして、もう一つは前回行き逃した内藤礼さんの作品に訪れることでした。
直島の本村港付近を舞台にした家プロジェクトのうち、
内藤礼さんの作品「このことを」は
15分間の時間指定で建物内に一人づつ入って鑑賞する作品です。
建物内は薄暗く、
建物下部の隙間から入るわずかな自然光を頼りに
作品と一人向き合います。
繊細な細工が床に配置されているのがまず眼に入りますが、
暗さに眼が慣れてくると、
建物の奥で細い糸がかすかに揺れているのに気づきます。
眼を上に上げると細い糸やビーズなどを
さらにいくつかの場所で見つけることができます。
一見何も無いようにみえる空間が、
実は繊細に作られた空間だということが分かります。
作品に身を置きながら、
水戸芸術館で体験したジェームズ・タレルの「ソフト・セル」
という作品を思い出しました。
「ソフト・セル」は遮光された無反響の小さな部屋に一人づつ入って、
約10分間闇を体験する作品です。
外界から完全に断絶された空間では、
鑑賞者はおのずと全身の感覚を研ぎ澄まされ、内省へと導かれます。
内藤さんの作品は完全な闇ではありませんが、
なぜかタレルの作品同様、内省へと導かれる気がしました。
繊細に作られた空間に包まれながら
最後は自分と向き合います。
過去の内藤礼さん関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-12-21 (内藤礼「母型」展@発電所美術館)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-04-11 (内藤礼展@神奈川県立近代美術館)
家プロジェクト「きんざ」http://www.benesse-artsite.jp/arthouse/kinza.html
タグ:内藤礼
直島 李禹煥美術館へ [20世紀美術(日本)]
直島に行ってきました。
直島には以前にも1度行ったことがあるのですが、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-12-02
李禹煥さんの美術館が新しく出来たので、早速行ってきました。
海に通じる谷間に作られた美術館は
安藤忠雄さん設計によるもので
直島の他の美術館同様に環境に溶け込むように建てられています。
入り口前には李禹煥さんの代表作でもある
関係項シリーズの作品が配置されています。
主に自然石と鉄板よりなる関係項シリーズですが、
美術館前の作品は18mのコンクリートの柱も加わり、
安藤忠雄さんの建物とも呼応するとともに、
直島の風景に負けないスケール感を得て、
今までにない大きな空間の広がりを感じさせてくれる作品です。
内部には、関係項シリーズのほかに
「点より」、「線より」といった比較的初期の作品などを展示する出会いの間、
漆喰の壁に直接描いた瞑想の間など
李禹煥さんの代表的な作品を見ることができます。
李禹煥さんの作品は
作品の周りに広がる緊張感のある空間(=余白)がとても重要で
作品に深みを与えています。
李禹煥さんの作品のために建てられた安藤忠雄さんの建築は
緊張感のある余白の役割をうまく果たしていると感じました。
過去の李禹煥さん関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2005-11-25 (李禹煥展@横浜美術館)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2006-12-26 (お台場にある作品)
李禹煥美術館 http://www.benesse-artsite.jp/lee-ufan/
直島には以前にも1度行ったことがあるのですが、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-12-02
李禹煥さんの美術館が新しく出来たので、早速行ってきました。
海に通じる谷間に作られた美術館は
安藤忠雄さん設計によるもので
直島の他の美術館同様に環境に溶け込むように建てられています。
入り口前には李禹煥さんの代表作でもある
関係項シリーズの作品が配置されています。
主に自然石と鉄板よりなる関係項シリーズですが、
美術館前の作品は18mのコンクリートの柱も加わり、
安藤忠雄さんの建物とも呼応するとともに、
直島の風景に負けないスケール感を得て、
今までにない大きな空間の広がりを感じさせてくれる作品です。
内部には、関係項シリーズのほかに
「点より」、「線より」といった比較的初期の作品などを展示する出会いの間、
漆喰の壁に直接描いた瞑想の間など
李禹煥さんの代表的な作品を見ることができます。
李禹煥さんの作品は
作品の周りに広がる緊張感のある空間(=余白)がとても重要で
作品に深みを与えています。
李禹煥さんの作品のために建てられた安藤忠雄さんの建築は
緊張感のある余白の役割をうまく果たしていると感じました。
過去の李禹煥さん関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2005-11-25 (李禹煥展@横浜美術館)
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2006-12-26 (お台場にある作品)
李禹煥美術館 http://www.benesse-artsite.jp/lee-ufan/
タグ:李禹煥