「全ての装備を知恵に置き換えること」 [文化]
「全ての装備を知恵に置き換えること」
写真家の石川直樹さんの著作のタイトルであるこの言葉は
パタゴニアの創始者イヴォン・シュイナードさんが
石川さんに語った言葉です。
「もしある人がはじめてクライミングをやりはじめたら、
周りにある装備を全て使うだろう。(中略)
それはとても簡単なことだ。しかし、(中略)
私にとっての究極は何の道具も使わない”ソロクライミング”なんだよ。
全ての装備を知恵に置き換えること。
それが到達点だと思っている。」
パタゴニアの製品は、
何が必要かを考える前に「何が必要でないか」を考えて作られているそうです。
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最近、様々なものや技術に無意識に頼って生きていることに改めて気付きます。
頼っているものが急に無くなってしまった時、、、、悲しいです。
でも、装備を一つでも知恵に置き換えることができれば、
悲しみはちょっとしたうれしさに変わる気がします。
レヴィ=ストロース 満100歳 [文化]
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2005-03-06-1
昨年の11月にとうとう100歳になられました。
すごいことだなと思います。
生誕100年ということで、フェアも開催されていたようです。
http://www.msz.co.jp/news/topics/Levi-Strauss100.html
レヴィ=ストロースの思考は、現在でも有効だと思います。
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昨年生誕100年展が開催されていた
東山魁夷さん、秋野不矩さん、脇田和さんと同い年ということになります。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-08-22
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-06-22
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-08-24
他にも、アンリ・カルティエ=ブレッソン、吉村順三、ライオネル・ハンプトン、植草甚一、沢村貞子
といった方々も同い年のようです。
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建築家オスカー・ニーマイヤーもご存命で、お年は満101歳。
レヴィ=ストロースよりさらに一つ上です。
すばらしいことだなと思います。
靉光、フリーダ・カーロ、チャールズ・イームズ、ブルーノ・ムナーリ、服部良一、宮本常一、湯川秀樹、淡谷のり子
といった方々が同い年です。
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ちなみに今年生誕100年を迎えられる方々は、
太宰治、大岡昇平、中島敦、埴谷雄高、松本清張、フランシス・ベーコン、浜口陽三、土門拳、浦辺鎮太郎、ベニー・グッドマン、淀川長治、小森和子
といった方々です。
浜口陽三さんはミュゼ浜口陽三にて生誕100年展が開催予定です。
http://www.yamasa.com/musee/
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昨年末、菊地成孔さんのコンサートに行ったのですが、
そこで菊地成孔さんが、
演奏をレヴィ=ストロースが100歳の誕生日を迎えたことに捧げます
と言っていたことを思い出しました。
http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php?n=081201021905
演奏ももちろんよかったんですが、
最後の饒舌なトークにも惹かれました。
有り余る知識が溢れるようなお話を、
独特の語り口で話されていて飽きませんでした。
本を何冊か出されているようなので、
読んでみようかと思います。
- アーティスト: 菊地成孔,南博,大友良英,菊地雅晃,Kasper Tranberg,坪口昌恭,水谷浩章,野口千代光,藤井信雄
- 出版社/メーカー: イーストワークスエンタテインメント
- 発売日: 2005/05/02
- メディア: CD
ねむの木こども美術館「どんぐり」へ [文化]
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-06-22
ねむの木こども美術館にも行ってきました。
2007年に新しくオープンした
ねむの木こども美術館「どんぐり」は
秋野不矩美術館と同じく藤森照信さんの設計です。
やさしさと力強さをあわせ持つような
不思議な建物だと思いました。
建物に描かれた画は
ねむの木学園の皆さんによるものです。
ねむの木こども美術館 http://www.nemunoki.or.jp/kmuseum/index.html
(年末年始を除いて基本的には年中無休だそうです)
もう一つの美術館「ねむの木緑の中」は休館中でした。
こちらは坂茂さんの設計です。
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ねむの木学園を知ったのは、
ずいぶん前なのですが、
「高校生のための批評入門」という本に納められた
ねむの木学園の園長でもある女優の宮城まり子さんの文章がきっかけでした。
「ぼく かえる みつけた。 しみそう。 くさのところへ いきました。」
と男の子が書いた文章を、
きちんとした文章に直そうとする先生に対して、
言葉が間違ってても
「死にそう」ではなく「しみそう」という
その子なりの表現のほうが好き、
と感じた宮城さんのお話です。
教育で得るものは確かにいっぱいあるけど、
逆に失うものもあるのだなと思いました。
ねむの木学園の方々の画を見ていると、
ぼくが失ってしまったものがいっぱいあって、
心がひどく揺さぶられます。
素敵な世界です。
ポストカードをいろいろ買ってきました。
写真はむらまつきよみさんの作品です。
以下のサイトで作品を見ることができます。
ねむの木学園ギャラリー http://www.nemunoki.or.jp/gallery/index.html
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宮城まり子さんの文章の載っている
「高校生のための批評入門」は
他に「文章読本」、「小説案内」もあるシリーズなのですが、
大変多くの素敵な文章が載っていて、面白いです。
ずいぶん昔に読んだのですが、
おかげで世界が広がった気がします。
現在の自分の知識の多くはこの本が出発点になっているような、
というといいすぎかもしれませんが、
読まれたことがない方にはおススメです。
編者の方々による手引きも見逃せません。
野口健さん 利尻・礼文、尾瀬へ [文化]
野口健さんのHPの”野口健ニュース”を見ていると、
いろいろなところに行かれてます。
野口健ニュース http://www.noguchi-ken.com/news/index.html
バックナンバーを見てみると、
今年は利尻・礼文、尾瀬にも行かれてて、
意識したわけでないですが、
どこかぼくの今年の行動に似ています^^。
(左記カテゴリーの「旅・花・動物」をご参照)
まぁ、野口健さんの場合は、
4月から5月にかけて、シシャパンマ(ヒマラヤ山系)に登頂されてますんで、、、
足元にも及びませんが、、、(すごいです)
利尻・礼文、尾瀬の様子はDVDで発売される様子で、
ついつい買ってしまいそうです。
野口健公式WEBサイト http://www.noguchi-ken.com/main.html
利尻山の様子はこちらのサイトにも
利尻島リアルタイム情報 http://www.maruzen.com/tic/jyouhou/index.htm
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すでに発売されているDVDシリーズ。
どれも行ったことないんですが、
いつかは行ってみたいなぁ。
いわさきちひろ「戦火のなかの子どもたち」 [文化]
戦争や災害などに絡む情報として、
様々な数字が世界から入ってきます。
”何万人が死傷”とか。。。
数字の大きさ自体が悲惨さを表しますが、
その中に、大きな数字で見落としがちな、
小さな出来事がいっぱい含まれていることは
忘れてはいけないと思います。
一人ひとりの被害者に、家族に、ドラマがあります。
戦火での死傷者の数を聞いたときに感じる気持ちと、
戦火の子どもたちの映像を見た時に感じる気持ちは、違うと思います。
どちらも大事ですが、
どちらが戦争の悲惨さを伝えてくれるかといえば、
やはり数字よりも映像や写真でしょうか?
大きな数字に隠れている、一人ひとりのドラマを忘れてはいけません。
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いわさきちひろさんの「戦火のなかの子どもたち」には、
戦火の子どもたちの一人ひとりのドラマが言葉少なに描かれています。
例えば、
物陰から覗く少女の絵の脇に 「風? かあさん?」 という言葉
という感じ。
こんな本を頼りに、
戦争や災害に関して想像をめぐらしてみるのも、いいかと思います。
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「子ども・未来・いのちをみつめて -いわさきちひろ展」@ちひろ美術館・東京
2005 5/18-7/10
ちひろ美術館 http://www.chihiro.jp/tokyo/t_exb0502.htm
科学の方法 戸田山和久「科学哲学の冒険」 [文化]
社会学とかの分野で、社会構成主義とか構築主義という方法論があります。
要約すれば以下のような考え方です。
”社会的な事実や人々の性質とされているものは
実は歴史的、社会的、文化的に作り出されてきたものという考え方”
民族、人種、ジェンダーなどに適用されているいろんな既成概念を
ホントは本質的できはないんじゃないか?
生まれながらではないんじゃないか?
と疑うところから始めます。
日本人は桜が好き とか
女の子はおしとやか とか
神秘の国・日本? とか
既成事実と思われていることを白黒はっきりさせるというより、
なぜそう思うようになったのだろう?
と考えます。
”あたりまえじゃん”を疑う、
そんなラディカルな考え方が結構好きです。
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そんな社会構成主義は
実は自然科学(サイエンス)にまで及んでいます。
社会構成主義者(科学知識社会学者という)が科学を扱うと、
例えば”科学的事実(規則とか法則とか)はすべて社会的な構成物で、
人間の認識から独立した世界の規則とか法則のようなものは存在しない”
となったりします。
科学的活動とは、
人間のまだ知らない世界の秩序を発見する活動
ではなくて、
科学者共同体での社会的合意をつくる活動 (秩序なんてないよ)
となってしまいます。
うむむむむ。。。。。
またしても、当たり前だと思ってたことが疑われたわけですが、
今回は個人的には受け入れがたい、、、
大学では自然科学を専攻していただけに、、、
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一部科学知識社会学者の主張は、ラディカルすぎな面もあり、
活動に業を煮やした一部科学者側と、
ひと悶着あったりしました。
「サイエンス・ウォーズ」とか「ソーカルのでっちあげ」とか呼ばれ、
結構話題になりました。
ソーカル事件 (結構、野次馬的に面白い事件です)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6
詳しくは以下の本となります。
科学知識社会学者の立場から
科学者からはソーカルさんご本人の本
(必ず2冊まとめて読まれたほうがいいかと)
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結局、科学者達は科学知識社会学者の主張に違和感を覚えながら、
科学者側に彼らの主張に対抗するような
自分の活動を表現する言葉を持ってなかったのも事実のようで、、、
かみ合わないような、未消化なもやもやした印象がやや残ります。
(ぼくが読んだ上記2冊のみからの印象ですが、、、)
ぼくのもやもやをどうにかして~。
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すっかり前置きが長くなりましたが、
ぼくのもやもやを消してくれるような本を見つけました。
最近読んだ、戸田山和久さんの「科学哲学の冒険」では、
科学の真理は社会的構成物だという考え方なども含め、
科学に対する様々な考え方の特徴と違いをきちんと整理したうえで、
自然科学の方法論が世界を正しく捉えているようだという直感を擁護する考え方
を紹介しています。
科学が世界を正しく捉えていそうという”当たり前”を疑った上で、
改めてその”当たり前”を主張することの難しさは想像以上のものです。
一度、本書を頼りにそんな思考の軌跡を辿ってみられてはと思います。
特に、自然科学を学んでいる(いた)方は。
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戸田山先生さんは、
大学の教養時代に論理学と哲学を習った先生なのでした。
センスよく楽しい授業が人気でしたが、
本でもみごと再現されていて、
新刊が出る毎に買ってます。
よろしかったら。
戸田山先生のHP http://www.h4.dion.ne.jp/~fmakiba/todayamas.htm
論理学の本
”知っている”ていうことがこんなに大変なんて
”作文ヘタ夫”くんが主人公の論文の書き方本
万博をめぐる人々 吉見俊哉「万博幻想」 [文化]
もうすでに愛知万博に2回も行ってるのに、
「万博幻想」なんて本を読んでいいのか?との意見もあるでしょうが、
一応、万博に興味がある、ということでお許しください。
より正確に言えば、万博をめぐる人々に興味があるんですが。。。
万博をめぐる人々といえば、
万博推進派と反対派という単純な構図が浮かびますが、
愛知万博の場合は3つに分かれます。
1.「海上の森」を中心に初期の愛知万博を構想・推進した人々
2.自然保護の立場から「海上の森」の愛知万博に反対した人々
3.現在の形の「青少年公園」(=長久手メイン会場)を中心とした愛・地球博を推進した人々
愛知万博は、大阪万博跡地が千里ニュータウンになったように、
最初期は万博と開発がセットで考えられてました。
しかし、上記1と2の人々の間で、
里山である「海上の森」での万博開催の是非について議論を重ねる中で、
愛知万博構想は環境型へとシフトしていきました。
そして、愛知万博は開催されることとなりました。
「巨大映像」や「大観覧車」のない万博として。。。
しかし、「海上の森」で希少野生動物のオオタカの巣が
見つかったことから事態は混迷していきます。
「海上の森」での大規模な万博開催を断念せざる得ない事態となると、
近くの「青少年公園」(=長久手会場)を中心とした万博構想がクローズアップされます。
上記3の人々にとって、多くの入場者を期待できない「海上の森」構想は魅力のないものでした。
ここで、「海上の森」での愛知万博反対という点で、
上記2と3の人々の利害が一致してしまったため、
1の人々の立場は一気に悪くなります。
初期構想の「海上の森」を中心とした万博は立ち消えてしまいました。
そして愛知万博は愛・地球博と名前を変え
長久手会場をメイン会場として2005年3月開幕しました。
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多くの議論が交わされながら、
結果的には従来と大きな差のない万博となってしまったようにも見えます。
強い統一感のある初期構想時の万博に比べ、
なんとなくまとまりのない万博にも見えます。
しかし、万博をめぐる様々な人々の思惑が
そこかしこに残されている愛知万博は、
まだ、魅力を秘めていると感じます。
重ねられた多くの議論は無駄ではありません。
まとまりのない万博の持ついろんな顔を捜す旅に出ましょう!
ぼくは、、、もう1回だけ行ってきます。
呆れられながら。。。(汗)
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初期構想の愛知万博は原研哉さんの「デザインのデザイン」が詳しいです。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-04-08-3
北川原温さんはさらに初期のメンバー。
海上の森を舞台とする愛知万博の最初のマスタープランを作られた方です。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-05-25
最近の谷口吉生さんの展覧会にも「海上の森」のパビリオン案が展示されてました。
実現は、、、されませんでした。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-04-25-1
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愛・地球博会場で大観覧車に乗る子供達の笑顔を見て、
これでよかったのかなぁと思いながら、
初期構想の愛知万博を夢見たりします。
愛・地球博HP http://www.expo2005.or.jp/jp/index.html
「愛知万博にチャド、やっと出展」の記事 [文化]
「愛知万博にチャド、やっと出展」の記事を発見しました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050709-00000089-jij-soci
チャドが7/10に出展することによって、愛知万博すべての参加国が揃いました。
このニュースは、ぼくにとってひとごとじゃありません。
何を隠そう前回愛知万博に行った際、わざわざチャドの展示を探しにいっているからです。
やっと辿りついた、アフリカ共同館のチャドの展示会場は、、、
何の展示もないガランとした空間でした。
とても、気になっていたのです。
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なぜ、チャドの展示を見に行ったかといえば、
偶然チャドという国を知ったからです。
それは、海外の衣料不足になやむ人々に衣料品を贈る衣料救援活動に
服や毛布を持っていった際に頂いたビラによってです。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-05-07
ビラには衣料を送った国がいくつか載っていて、
その中にチャドも大きく紹介されていました。
チャドは民族紛争や多くの難民で知られるスーダンのお隣にあります。
そのため、多くのスーダン難民がチャドに逃れています。
結果、難民キャンプは過密状態となり、
また、受入れ側のチャドの地元民の暮らしも圧迫されている状況のようです。
植物にも人間にも厳しい環境のチャド(スーダン難民)に対して、
食料、テント、医療品など、多くの国が支援を行っています。
そんなチャドに日本救援衣料センターからも衣料品が届けられたようです。
生きていくのが精一杯の状況下で、
最低限の生活のための支援(食や住など)が大半な中で、
洋服を選ぶという楽しみがうれしかった
という趣旨の言葉とともに、うれしそうに洋服を選ぶ人々の写真が
ビラには載っていて印象的でした。
救援衣料センター http://jrcc.asp-base.com/index.php
http://jrcc.asp-base.com/pictures.html にチャドの写真
デパートの丸井は救援衣料センターに協力し、定期的に衣料品を回収してます。
丸井愛の救援衣料活動 http://www.0101.co.jp/
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そんなこんなで興味を持ったチャドという国。
今度愛知万博に行ったときはぜひ展示を見てこようと思います。
日本国連HCR協会 http://www.japanforunhcr.org/index.html
UNCHR(国連難民高等弁務官事務所)日本委員会
http://www.unhcr.or.jp/news/info/donate_now.html
「チャドのスーダン難民に支援を!」
今最も緊急な事態はチャドで起こってます。詳しくは上記リンク先を。
今回の愛知万博への参加の遅れとは関係あるのでしょうか?
とても気になります。
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今回の教訓として、
寄付や募金などはそれがどのような支援に使われているかを
きちんと知っておくことが大事なんだろうな
ということです。
いつもコンビニのレジ横の募金箱とかに募金入れますが、
あれだってどんな支援に使われているかを知れば、
色んな新しい世界を知ることができる気がします。
そして新たな支援に繋がるような気が。
物語を紡ぐ 岡真理著「記憶/物語」と「ストーリーテラーズ」展 [文化]
悲しい出来事があったとき、
優しい言葉をかけてもらうのもうれしいけど、
一番癒されるのは、、、
同じ体験をした人と共に語り合うこと。
語り合うまでいかなくとも、
同じ体験をした人の言葉を読んだりするだけでも。
あるいは、
たとえ同じ体験をしていなくても、
相手に自分の思いを理解し共感してもらえるということ。
そんな感じがします。
これって、
悲しい「出来事」の記憶を分有(共有)し合う
ってことなんですね。
記憶を誰かと分有するってことが大事です。
では「出来事」の記憶を分有できない人は、
どうすればいいんでしょうか?
大きな話で言えば、
9・11の体験は世界中の人が分有する「出来事」です。
でも、世界には分有していない「出来事」がもっともっと多くあるようだし、、、
さらに、小さな話で言えば、
個人的な体験・思いは、、、どう分有していけば、、、
岡真理さんの本「記憶/物語」は、
そんなことを考えさせられる本です。
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「出来事」の記憶を分有(共有)し合うには、
その体験を物語ることが重要です。
そして、いかに物語るか?ということ。
森美術館で開催されていた「ストーリーテラーズ」展には、
いかに物語るか?の答えとして、
アート、写真、映像を手段とした
記憶の分有を巡る物語がいくつか展示されていました。
写真や映像のような手段を用いた作品を観ていると、
懐かしさや潜在的な恐れのような
断片的な記憶が自然と呼び起こされて、、、
作者の物語の世界に引き込まれます。
写真や映像は”「出来事」の記憶の分有”にはやはり強力だなと思います。
9・11の体験も、結局テレビの映像による記憶の分有です。
まぁ、強力であるってことは、
それだけ怖いってことでもあるんですが、、、
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共有し得ない「出来事」を物語ることの困難さも問題ですが、
いざ語られた物語にもいろいろな問題があります。
「出来事」は「物語」になった瞬間からどんどん「現実」と離れていきます。
「ストーリーテラーズ」展では、
"共有し得ない「出来事」を物語ることの困難さ" 以外にも、
"「出来事」が物語化する中で削ぎ落とされてしまう私の「現実」について"
"ステレオタイプ化した物語(神話)への批判"
"映像によっていかようにも作れる物語の怖さ"など
深読みしていけばいかようにも解釈可能な作品が多くあり、
「物語」を巡る思考を楽しめました。
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「ストーリーテラーズ -アートが紡ぐ物語-」 @森美術館
2005 3/29-6/19
「安野光雅 原画展」 [文化]
昔から安野光雅さんの絵が好きで、
一昨年は津和野の安野光雅美術館にも行ってきました。
絵本も多数持ってます。
安野光雅さんが装丁をしているというだけで、
本を買っていた時期もありました。
いろんな作風をお持ちなんですが、
一目で”安野さんだ!”ってわかるんですよね。
井上ひさしさんのこまつ座の上演ポスターも、
和田誠さんとだいたい交替で手がけていらっしゃって、
こまつ座ファンとしてはうれしいです。
そんな、こまつ座のポスターを中心とした原画展を観てきました。
帰りには、新刊「安野光雅のいかれたカバン(サイン入り)」を購入。
一度だけご本人にサインをしてもらったことがあります(嬉)
津和野町立 安野光雅美術館 http://www.tsuwano.ne.jp/town/anbi/anbi.htm
津和野には安野光雅サイン本の揃う「ささやおりべ」というお店があります。
(とってもやさしそうなお店の方が好印象でした)
↓こちらは「旅の絵本」の最新刊 デンマーク編
約20年ぶりの5巻から間を置かずの発売!
「旅の絵本」は大人になっても楽しめますね。
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「安野光雅 原画展」 @丸善・丸の内本店4階ギャラリー
2005 5/3-10