民藝@メトロポリタン美術館 [民藝]
ニューヨーク旅行で立ち寄ったメトロポリタン美術館では、
民藝の作家達の作品も展示されていました。
濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチの作品が、
同じコーナーに展示してありました。
その隣には、ルーシー・リーの作品もありました。
メトロポリタン美術館 http://www.metmuseum.org/
Mingei of Japan: The Legacy of the Founders: Shoji Hamada - Kanjiro Kawai - Soetsu Yanagi
- 作者:
- 出版社/メーカー: Mingei Intl Museum of World
- 発売日: 2006/06/30
- メディア: ハードカバー
棟方志功記念館@青森へ [民藝]
青森旅行では
約10年ぶりに棟方志功記念館に行ってきました。
比較的小さい美術館ですが、
棟方志功の旧蔵品など記念館ならではの展示品も
魅力と思いました。
青森では他にも青森県立美術館や弘前市立博物館、弘前市民会館、
さらには酸ヶ湯温泉や弘前の大阪屋の店先など
あちこちでで棟方志功の作品に出会えました。
街に溶け込んでいる印象です。
以前は公共交通機関で行くのが難しかった記憶があるのですが、
新幹線の新青森駅開通にあわせて運行開始した
シャトルバス「ねぶたん号」のバス停が記念館の目の前にできていました。
ぜひアクセスしてみてください。
棟方志功記念館 http://munakatashiko-museum.jp/
「棟方志功ねぷた」@弘前市立博物館
過去の関連記事:
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-03-14 (棟方志功のラベル 亀屋良永・御池煎餅)
「染付蘭草文瓢形瓶」@韓国・国立中央博物館 [民藝]
「染付蘭草文瓢形瓶」@韓国・国立中央博物館
柳宗悦と朝鮮を結びつけた記念の品として有名な壺があります。
日本民藝館所蔵の「染付秋草文面取壺」です。
柳宗悦のもとを訪れた浅川伯教が手土産として携えた品で、
この八角の面取形状が美しい壺に導かれるようにして
柳は朝鮮の美の蒐集をはじめました。
柳宗悦の朝鮮陶磁のコレクションの中でも特別な存在で、
柳宗悦没後50年記念として日本民藝館で開催された「朝鮮陶磁展」の
図録の裏表紙にも使用されています。(下の写真)
(朝鮮陶磁展の記事→http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26)
「染付秋草文面取壺」@日本民藝館
この壺の説明には、先の浅川伯教の手土産という話に続いて、
本来は瓢形の瓶の上半分を切り落としたもの、
という説明がいつも続きます。
これは比較的近年になって明らかになったことで、
柳宗悦は知らなかった事実でもあります。
元々の形がどのようなものか気になっていたところ、
ソウル旅行中に立ち寄った国立中央博物館で
「染付秋草文面取壺」と同様の八角面取形状を下半分に備えた
「染付蘭草文瓢形瓶」を見つけました。(一番最初の写真)
韓国国立中央博物館 http://www.museum.go.kr/jp
日本民藝館 http://www.mingeikan.or.jp/collection/korea01.html
大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の
特別展「浅川巧生誕百二十年記念 浅川伯教・巧兄弟の心と眼-朝鮮時代の美-」
に日本民藝館の「染付秋草文面取壺」が出品中のようです。
その後、千葉、山梨、栃木に巡回予定です。
http://www.moco.or.jp/exhibition/2011/01.html
--------------------------------
ソウルの国立中央博物館では
他にも多くの朝鮮陶磁のコレクションを見ることができました。
一部を紹介します。
「染付秋草文面取瓶」
日本民藝館の「染付秋草文面取壺」と同じ野菊の模様が描かれています。
「染付草蟲文壺」
「染付梅蘭文文字入壺」
「刷毛目鉄絵草花文俵壺」
「鉄絵垂紐文壺」
「鉄絵柳文壺」
---------------------
益子参考館へ [民藝]
益子参考館に行ってきました。
多くの方が被災された今回の震災では、
益子参考館も建物や収蔵品に
大きな被害を受けたということで、
とても心配していました。
まだまだ被災の爪あとが随所に残っており、
大谷石の石蔵を利用した2号館と3号館は現在も閉館中でしたが、
その他の展示は4/29より再開しました。
再開への一歩を踏み出せたのはほんとうに良かったと思います。
一方で、完全に元の状態に戻るにはまだまだ金銭面などの困難が続くと思われ、
今後も気にしていきたいと思います。
失われたものは大きいと思いますが、
益子には手仕事の技が残っていることに希望を感じます。
益子参考館 http://www.mashiko-sankokan.net/
「観じる民藝 尾久彰三コレクション」展 @そごう美術館 [民藝]
日本民藝館で長年学芸員をされていた尾久彰三さんの
骨董コレクションを集めた展覧会です。
日本民藝館で磨かれた眼によって選ばれた
古民藝を中心とした品々が並びます。
毎週土曜日には尾久さんによるギャラリートークが開催されていて、
運良くそのうちの1回を聴くことができました。
その中で、
民藝の品々は生活の中である役割を持っているので、
自ずとそこに制約が生まれて、
自由過ぎないところに美しさがある
という趣旨のことを話していらした気がします。
逆に言えば
制約の中では各々が自由に工夫してもいい
とも言えます。
そう思って展示された品々を改めて見ていると
きちんと制約を守りながらも遊び心というかアートを感じさせるもの
が多い気がします。
用の美や機能美といった言葉では捉えきれない
生活に潤いを与える民藝の魅力だと思いました。
------------------
「観じる民藝 尾久彰三コレクション」展 @そごう美術館
2010/5/29-7/4
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/10/0529_mingei/index.html
--------------------
目の眼7月号別冊 「サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝」 [民藝]
目の眼増刊 サヨナラ民芸。こんにちは民藝。 2010年 07月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: 里文出版
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 雑誌
民藝を特集した雑誌が発売中です。
タイトルは「サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝」です。
元々は柳宗悦の創り出した「民藝」ですが、
時代を経る中で、人によって様々な捉え方がなされて、
ひと言で「民藝」といっても、その定義は難しい状況です。
柳宗悦の著作を元に「民藝」を定義することも可能でしょうが、
民藝運動が工業化の中で手仕事が失われつつあるという当時の
時代を背景とした運動であったことを考えると、
今という時代を背景とした「民藝」を考えることは
とても重要なことのような気がします。
------------
この本は、
現在における「民藝」
を考えるきっかけをくれる気がします。
内容は6組の対談で構成されています。
濱田庄司のお孫さんで民藝研究家の濱田琢司さん ×
鎌倉の「もやい工藝」と手仕事フォーラムを運営する久野恵一さん
日本民藝館の元学芸部長の尾久彰三さん ×
骨董愛好家の豊島愛子さん
染色作家で人間国宝の志村ふくみさん ×
人間国宝の陶芸家・近藤悠三のお孫さんで陶芸作家の近藤高弘さん
武者小路千家官休庵の15代次期家元の千宗屋さん ×
鈴木大拙の元秘書で日本民藝館評議員の岡村美穂子さん
産地プロデュース型のデザイナーのエフスタイル ×
編集者で工芸ライターの田中敦子さん
益子のスターネットのオーナーの馬場浩史さん ×
ビームス・バイヤーのテリー・エリスさん&北村恵子さん
-----------------
「民藝」とその周辺に興味をお持ちの方なら
非常に興味をそそられる人選だと思います。
それぞれの方が独自の「民藝」観を披露されており、
「民藝」の多面性を知ることができると同時に
共通している部分も浮かび上がってくるような気がします。
考えてみれば、
自分にとっての「民藝」も年を経るとともに
色々変わってきているような気がします。
元々「民藝」とは<発見>されたものです。
これまで見えていなかったものが、
あるきっかけで見えるようになったものだったりします。
あるきっかけとはきっと内面の変化です。
今後も内面の変化に応じて
自分にとっての「民藝」も変化していくような気がします。
↓雑誌が本になって手に入りやすくなりました。
-----------
↓濱田琢司さん監修の本は以前こちらでも紹介しました
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2007-02-25-1
↓久野恵一さんは雑誌によく登場し手仕事の魅力を伝えてくださっています
Discover JAPAN (ディスカバージャパン)4 (エイムック 1716)
- 作者:
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2009/04/23
- メディア: ムック
もやい工藝: http://moyaikogei.jp/
手仕事フォーラムblog: http://blog.teshigoto.jp/
↓尾久さんの新刊「観じる民藝」は展覧会も同時に開催されました
↓豊島愛子さんがご主人の清さんとの漆器づくりをまとめた本です
↓志村ふくみさんは著作多数です。いいものの作り手は大抵文章もいいです。
↓近藤高弘さんは造形作家として活躍されています
近藤高弘 青のゆくえ―Blue mist:THE WORKS OF TAKAHIRO KONDO
- 作者: 近藤 高弘
- 出版社/メーカー: Paramita Museum
- 発売日: 2003/03/31
- メディア: -
↓千宗屋さんはテレビや雑誌でもおなじみです
↓奥村美穂子さんは禅の研究家で柳宗悦の英語の先生だった鈴木大拙の
元秘書をされていました
↓エフスタイルの本がアノニマスタジオより
↓田中敦子さんが江戸の手仕事を取材した本です
↓馬場さんは益子の素敵なお店スターネットの代表です
スターネット: http://www.starnet-bkds.com/
↓テリー・エリスさん&北村恵子さんが監修した
ビームススタッフのインテリアを紹介した本です
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2008-12-19
Fennica style book―北欧から民芸へ、フェニカが提案する豊かな暮らし Japanese rooms:Living with design & crafts
- 作者: プチグラパブリッシング
- 出版社/メーカー: プチグラパブリッシング
- 発売日: 2008/11/12
- メディア: 単行本
fennica blog: http://blog.beams.co.jp/fennica/
「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」 @韓国文化院 [民藝]
「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」を観に
韓国文化院に行ってきました。
柳宗悦は、
雑誌白樺で活躍していた当時、
ロダンの彫刻を見に訪れた浅川伯教より土産としてもらった
染付秋草文面取壺に導かれて
朝鮮を何度も訪れ工芸品を収集し始めます。
柳宗悦が愛して主に収集した工芸品は
例えば高麗時代の青磁のような高級品よりも
日常品として用いられた朝鮮時代(李朝)の器でした。
その後、柳宗悦は
朝鮮で日常品の美を発見した眼により、
日本で民藝の美を見出すことになります。
日本にいるときには見えなかったものが、
異文化に触れることで見えてくることがあります。
柳宗悦が民藝を見出すには、
朝鮮の工芸品との出会いが必要だったように思います。
展示会では柳宗悦が収集した
主に朝鮮時代の陶磁器、木工品、近郊品などが
紹介されています。
どれも華麗な美というよりも
静かな力強さを持つ美を備えていました。
今改めて朝鮮時代の工芸品を見ることで、
柳宗悦の通ってきた道を辿ることができたような気がします。
展示会では工芸品のほかに
数多くの写真パネルや自筆原稿なども展示されていて
柳宗悦の思想や人物にも触れることができる構成となっていました。
-----------------
「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」 @韓国文化院
2010/6/9-6/12
http://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?number=1080
-----------------
日本民藝館では関連催事として「朝鮮陶磁」展が開催中です。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26
また、日本民藝館で7/6-9/5開催の「日本の染」展では
今回の「柳宗悦 朝鮮とその藝術展」が再現されるようです。
行き逃した方は是非。
日本民藝館 http://www.mingeikan.or.jp/home.html
「朝鮮陶磁 -柳宗悦没後50年記念展」@日本民藝館 [民藝]
日本民藝館で開催中の朝鮮陶磁展に行ってきました。
柳宗悦没後50年記念展ということで、
その後の民藝運動への継起となった朝鮮陶磁のコレクションを
数多く観ることができる展覧会です。
柳宗悦といえば一般的にはいわゆる李朝の白磁が有名で、
秋草文の壺など多くの白磁の名品が展示されていました。
一方で、白磁以外にも井戸茶碗、刷毛目、三島手、鉄絵、辰砂、飴釉など
思った以上に変化にとんだコレクションを観ることができました。
展示作品はどれも柳宗悦の審美眼で選ばれたもので、
朝鮮陶磁を鑑賞しながら
柳宗悦の美意識も感じることのできる展示となっています。
---------
最近行った大阪市立東洋陶磁美術館でも
数多くの朝鮮陶磁を見ることができました。
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
日本民藝館の展示が朝鮮時代中心なのに対し、
東洋陶磁美術館の展示は高麗時代の青磁も含めた
幅広い展示となっていました。
東洋陶磁美術館の展示を思い出しながら
日本民藝館の展示をみると、
重なる部分もいっぱいあるのですが、
一方で重ならない部分もあって、
両者を比べることで柳宗悦の選択した美が浮かび上がってくるような気がしました。
キーワードはやはり「雑器の美」のような気がします。
----------------
「朝鮮陶磁 -柳宗悦没後50年記念展」@日本民藝館
2010/4/1-6/27
http://www.mingeikan.or.jp/home.html
-----------------
大阪日本民芸館 と 国立民族学博物館へ [民藝]
大阪の万博記念公園には
1970年の万博に「万博・日本民藝館」として
出展した施設が大阪日本民芸館として残っています。
ぼくが行ったときは
ちょうど万博当時の展示を再現した
「民藝の美」展が開催中でした。
万博関連施設の中でも
ここだけは時が止まったかのように
古さを感じさせない不変さを感じます。
大阪日本民芸館 http://www.mingeikan-osaka.or.jp/
----------------------
大阪日本民芸館の向かいには
国立民族学博物館(みんぱく)があり、
こちらにも行ってきました。
みんぱくは民芸館と同じく世界の日常品を展示する施設ですが、
その違いを考えてみると面白いと思います。
民芸館が柳宗悦の民藝運動を基にしているのに対して、
みんぱくは渋沢敬三の民具研究(アチックミュージアム)の収集品を
収蔵品の核の一つとして出発しました。
民芸は柳宗悦の審美眼にによって見出され取捨選択された工芸品ですが、
民具は取捨選択なく、むしろ、漏れなく収集された品々から
統一性を見出す民俗学的研究対象と言えそうです。
民俗学の柳田國男との議論を踏まえて柳宗悦がまとめた
「民藝」と「民具」の違いは
以下のように挙げられます。
「もの」と「こと」
「哲学(美学)」と「科学」
「規範学」と「記述学」
「価値学」と「経験学」
「かくあらねばならぬ」と「かくある」
「質」と「量」
「観る道」と「知る道」
これらの言葉を念頭に民芸館とみんぱくの双方を訪ねるのも
楽しいかもしれません。
国立民族学博物館 http://www.minpaku.ac.jp/
渋沢敬三のアチックミュージアム http://www.minpaku.ac.jp/special/200103/index.html
---------------------
民藝と民具の違いはこちら↓の本を参考にしました。
渋沢敬三とアチックミュージアムに関してはこちら↓の本が参考になります。
宮本常一と渋沢敬三に焦点をあてたノンフィクションです。
こちら↓は宮本常一の名著。
ここに登場する人はなぜか皆美しく感じます。
美しさは見た目だけじゃないんですね。
「アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで」 [民藝]
「アーツ&クラフツ展」に行ってきました。
イギリスのアーツ&クラフツ運動から日本の民芸運動まで
ヨーロッパ諸国と日本の近代工芸運動を巡る展覧会です。
様々な近代工芸運動を見ることで、
その共通項が浮かび上がってきます。
一方で、相違点も気になります。
ここでは、相違点について考えてみました。
-----------------------
最初の近代工芸運動はイギリスのアーツ&クラフツ運動から始まりました。
なぜイギリスで起きたかといえば、
きっと産業革命を起源とする工業化が最初に進んだのが
イギリスだったからだと思います。
アーツ&クラフツ運動は工業化社会の中で失われていく
手仕事や自然、伝統の中に美を見出しました。
その後、工業化が他の国々に伝わるにしたがい、
近代工芸運動も他の国で起こりはじめます。
------------------------
イギリスと地理的、宗教的に近い国は
比較的早く工業化を達成したようですが、
同じヨーロッパでも工業化が遅れた国もあったようです。
たとえば、ドイツも工業化が比較的遅れた国の一つのようです。
そんなドイツの近代工芸運動はイギリスのものとは少し違うように感じます。
イギリスの運動が工業化社会の中で失われていくものに美を見出したのに対し、
バウハウスへとつながるドイツの近代工芸運動を見ていると、
ドイツの場合は工業化社会の中で美を見出しているように見えます。
ギルトの職人的気質が元々工業化に向いていたのかもしれませんが、
工業化が遅れた分を取り戻そうとした側面もあったようです。
その結果、ドイツでは工業化は前提として存在し、
工業化の中での美=デザインの概念が早々に誕生したようにみえます。
北欧なんかも同じようなことがいえるようにみえますし、
また、ロシアの構成主義なんかにも同じものを感じます。
-------------------
ところで、
フランスも工業化が比較的遅れた国の一つのようですが、
フランスの場合はドイツとはまた違った側面があるように見えます。
元々、工芸には工業的側面と芸術的側面がありますが、
ドイツの近代工芸運動は工業的側面が強いのに対して、
フランスの近代工芸運動は芸術的側面を強く感じます。
フランスの近代工芸運動のアール・ヌーヴォーの作品は
大量生産に向いていない有機的曲線を多用した、
芸術的側面の強い作品です。
元々芸術の盛んだったフランスの場合は、
ドイツのように工業化が遅れた分を取り戻そうとする道ではなく、
芸術的な面で伸ばしていくという違った道を歩んだようです。
その結果、フランスはアートやファッションなど芸術的分野で
中心的な役割を果たすことになったように見えます。
イタリアなんかも同じようなことが言えるようにみえます。
-----------------------
そして、日本です。
世界的には比較的遅れて誕生した日本の民芸運動は
工業化社会の中で失われていくものに美を見出すという点で、
原点であるイギリスのアーツ&クラフツ運動にとても近く感じます。
アーツ&クラフツ運動は手仕事や自然、伝統の中に美を見出しましたが、
民芸運動は特に手仕事に美を見出しました。
民芸運動はアーツ&クラフツ運動から40年くらい後に誕生していますが、
これは日本への工業化の本格的な波が届くまでの時間差なのかもしれません。
世界的に見れば工業化をほぼ前提としていかなければならない状況の中で、
失われていくものに美を見出すイギリスのアーツ&クラフツ運動と
同じ精神の運動が起きたことは
特に貴重で意味のあったことのように感じます。
-----------------------
前から近代工芸運動同士の違いが気になっていたのですが、
特に工業化社会の中で失われていくものに美を見出す運動と、
工業化社会の中で美を見出す運動の差が気になっていました。
というわけで、
今回の展覧会をきっかけに
いろんな国の近代工芸運動を解説した本(↓)を読んでみました。
大変参考になって視野が広がった気がします。
興味がある方におススメします。
ここで書いたことも、多くは↓こちらの本に拠っています。
------------------------------
「アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで」@東京都美術館
2009/01/24-4/5
http://www.asahi.com/ac/
-----------------------------