風立ちぬ、いざ生きめやも。 青年団「S高原から」 [演劇]
人は死を前にして、どのように思い、生きるのだろうか?
なぜ、こんなことを考えてしまったかといえば、
青年団の舞台「S高原から」を観たからです。
高原のサナトリウムを舞台にしたこの作品には、
不治の病の患者たちのさりげない日常が描かれています。
この舞台では、患者たちはだれひとり「死にたくない」とか生死について言及しないのに、
かえって静かに、よりリアルに「生きたい」という気持ちが浮き上がって見える気がします。
そんな劇中にも登場するヴァレリーの詩
風立ちぬ、いざ生きめやも
堀辰雄が「風立ちぬ」の中に登場させた詩です。
小説「風立ちぬ」の主人公たちもサナトリウムで静養する患者です。
死を前にした者たちだけの感じられる自然や時間を楽しんでいるようにも見える主人公たちですが、「いざ生きめやも=生きなければならぬ」という言葉が本心なのでは?
自分だったらどう思うのだろう。
やっぱり、生きたいと思うんじゃないのかな?
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