井上ひさしさんの死亡記事 [演劇]
急な知らせにビックリしています。
ご冥福をお祈りします。
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井上ひさしさんの戯曲の多くは
死と隣合わせの重くなりがちな題材が
笑いとともに描かれています。
会場はいつも笑いに包まれていますが、
笑いの奥には
戦争や社会に翻弄される庶民の歴史が
見え隠れしています。
笑いの奥深さが井上さんの戯曲の魅力でした。
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いつも楽しみにしていた井上ひさしさんの舞台の新作を
もう観ることができないと思うと少し寂しいですが、
多くの名作が残りました。
これからも井上さんの舞台を見続けたいなと思います。
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そういえば、
よく観に行くこまつ座の舞台の会場では、
井上ひさしさんをお見かけすることがありました。
一度、トイレの入口で鉢合わせした時、
入口の扉を開けて待っていてくださりました。
物腰の低いやさしい人という印象で、
人柄のよさがにじみ出ていました。
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気がつけばここ10年くらい、
井上さん戯曲の新作は観続けています。
昨年は2本も新作を観ることができました。
笑いに満ちた「ムサシ」もよかったし、
小曽根真さんが生演奏した「組曲虐殺」もよかったです。
笑いの奥に確かに存在する井上さんのメッセージ、
確かに受け取りました。
個人的なお気に入りは
太宰治と樋口一葉を題材にした2作品です。
「人間合格」と「頭痛肩こり樋口一葉」
それから、戦争を題材にした作品も忘れられません。
例えば「紙屋町さくらホテル」や「きらめく星座」とか
そして、初期の猥雑で破天荒な戯曲も魅力的です。
例えば「薮原検校」や「天保十二年のシェークスピア」なんか、
圧倒されます。
あげればキリがないですね。
観てない戯曲もまだまだあるので、
今後も再演をチェックしていきたいなと思います。
NODA・MAP番外公演「THE BEE」日本バージョン [演劇]
最近の野田秀樹さんの作品は
戦争をテーマにしたものが多い気がします。
今回の筒井康隆さんの短編を原作とした「THE BEE」も
戦争のことが暗に思い出されます。
不条理劇のような感じもありますが、
そもそも暴力は不条理で不毛なものなのかもしれません。
客席から客観的に見ることで、
その不条理性が際立って見えるような気がしました。
「つまらない恐怖心に支配されてゆく平凡な人間」
として描かれた主人公井戸は自分のことかもしれません。
時には自分を客観的に見ることが必要かもしれません。
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NODA・MAP番外公演「THE BEE」@シアタートラム
2007/6/22-7-9 日本版
2007/7/12-7/29 ロンドン版
http://www.nodamap.com/02thebee2/top.html
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原作はこちら↓に収録された「毟りあい」です。
未読ですが、久しぶりに筒井康隆さんの昔の短編を読んでみたい気分です。
二兎社「書く女」 [演劇]
先々月のことなのですが、
二兎社の舞台「書く女」を観てきました。
樋口一葉が主役の舞台です。
樋口一葉が主役の舞台といえば
こまつ座の「頭痛肩こり樋口一葉」が有名ですが、
二兎社の「書く女」も永井愛さんらしく、
こまつ座同様笑いのある舞台でした。
樋口一葉の生涯は短命だったり貧乏だったり、
決して幸せそうに感じないのに、
笑いのある舞台を観ていると、
なんだか楽しそうに感じます。
少なくとも不幸ではないように感じます。
そう思ってみると、
樋口一葉の小説の主人公達も
悲劇の主人公の印象が強いのですが、
なんだか不幸ではないように感じます。
幸せそうじゃないけど、不幸でもなさそう
そんな微妙な表現ができるのが舞台や小説のいいところです。
現実ってそんな微妙な感じの連続のような気がします。
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二兎社「書く女」@世田谷パブリックシアター
2006 10/2-15
作・演出:永井愛 出演:寺島しのぶ、筒井道隆など
二兎社 http://www.nitosha.net/
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「頭痛肩こり樋口一葉」も好きです。
またいつかお盆の季節にでも。
コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談」 [演劇]
歌舞伎も今や伝統芸能で、
守るべき伝統はきちっと守っていかなければいけないのですが、
一見伝統にとらわれないような破天荒な部分も
歌舞伎の元々持っていた魅力な気がします。
中村勘三郎さんが現代演劇の演出家・串田和美さんと作り出す
コクーン歌舞伎や平成中村座を見ると
新しいというより本来の歌舞伎の魅力を感じます。
役者さんたちの姿もすこし活き活きしてみえます。
今回のコクーン歌舞伎は「東海道四谷怪談」。
あっと驚く見せ場の多い作品ですが、
心理描写も見もの。
役者、演出ともに巧みでした。
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コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談」@シアターコクーン
2006 3/18-4/24
Bunkamura シアターコクーン http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/
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ロビーでは”手ぬぐい”が販売。
今年は”手ぬぐい”に凝っているので、早速購入。
あえて探している訳ではないのに、気にしていると”手ぬぐい”って世の中に氾濫しています。
当然のことながら、かまわぬ製。
今年で3回目の遭遇です。
魯山人手ぬぐい http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2006-03-15
水族館手ぬぐい http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2006-03-21
ヨーロッパ企画「サマータイムマシン・ブルース」 [演劇]
お気に入りの劇団・ヨーロッパ企画のなかで、
一番のお気に入りはやっぱり「サマータイムマシン・ブルース」です。
と思ってたら、その「サマータイムマシン・ブルース」が映画化されました。
昨年の夏、”踊る~”の本広監督!によって。
見に行かなければと思いつつ結局映画館にはいけなかったんですが、
冬になりDVDが発売されたのでようやく見ることができました。
興味を持たれた方はぜひご覧ください。
とてもよくできたお話で楽しめます。
そして、舞台版も発売中。(2003年版も劇団HPから買えます)
主に劇団外の役者さんが演じる映画版をみて、
逆に舞台版での劇団の役者さんたちの魅力を再認識しました。
映画版は映画版で面白いのですが、舞台版は舞台版で違う面白さがある気がします。
映画ではきっと成り立たない演技なんですが、、、
カツゼツが多少悪くても、そこが魅力です。
舞台版もぜひご覧ください。
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3月には「サマータイムマシン・ブルース」後初となる公演「Windows5000」を
観に行ってきました。
映画化という事件があっても、昔と変わらない雰囲気で楽しめました。
劇団員のキャラも健在で。
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ヨーロッパ企画「Windows5000」@THEATER/TOPS
2006 3/14-19
ヨーロッパ企画 http://www.europe-kikaku.com/
次回の東京公演はとうとうスズナリに進出!
過去のヨーロッパ企画関連の記事:
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-02-26-2
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舞台に立つ役者が皆映画スターやミュージカルスターみたいな人ばかりじゃないんだ、
ということに関しては最近でた宮沢章夫さんの本が面白かったです。
「ニセS高原から」 S高原から連続上演 [演劇]
人間の内側と外側にはちがう世界が広がっている。
例えば、理想と現実とか、本音と建前とか、、、?
通常、内側を「エゴ(自我)」、外側を「外界」とよび、
その間に「セルフ(自己)」が挟み込まれているモデルで説明されています。
セルフはエゴと外界に挟み込まれて、
様々な葛藤を引き起こします。
理想と現実、本音と建前、、、イライラ、イライラ、、、
これが人間的存在です。
エゴとセルフの葛藤は人間的存在の基本で、
様々な文学で扱われてきました。
そして、演劇でも。
演劇でエゴとセルフの葛藤の図式を好んで用いている方に
青年団の平田オリザさんがいます。
さすが理論派ということで、意図的に用いていることを明言されてます。
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「ニセS高原から」は平田オリザさんの戯曲「S高原から」を元に、
4人の演出家が4種類の「S高原から」を上演する企画です。
高原のサナトリウムを舞台にしたこの作品にも
エゴとセルフの図式を当てはめることが可能です。
不治の病の患者たちのさりげない日常の中に
様々なエゴとセルフの葛藤が描かれています。
エゴとセルフの葛藤に対し人間がとる行動は様々です。
4人の演出家は夫々どう対処したでしょうか?
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ポツドールの三浦大輔組は
エゴとセルフの葛藤によるイライラを隠すことなく
表情やことばに表していく登場人物が多く感じます。
一方、五反田団の前田司郎組は
エゴとセルフの葛藤からどうにか回避しようとしている登場人物が多く感じます。
必死に逃げている感じ。
でも、素直な気持ちを表す三浦大輔組に人間の弱さを、
一方逃げる前田司郎組に逆に人間の強さを感じます。
蜻蛉玉の島林愛組は
戯曲の登場人物の男女をほぼすべて入れ換え演出します。
戯曲で描かれるエゴとセルフの葛藤の人間としての普遍性を示してくれているようです。
三条会の関美能留組は
本音と建前の入り乱れる強烈な演出。
死を身近に生きる主人公達は最後まで笑い叫んでいました。
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小説の世界でもエゴとセルフの葛藤は描かれています。
村上春樹さんの「若い読者のための短編小説案内」では、
村上春樹さんが「第三の新人」を中心にエゴとセルフの図式で小説を解読しています。
エゴとセルフの葛藤への様々な対処法が見てとれます。
(今回の記事の参考にしました。過去の記事でもたまに。。。)
きっと、村上春樹さん自身の小説にもエゴとセルフの図式が
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「ニセS高原から」@こまばアゴラ劇場
2005 8/28-9/27
作:平田オリザ 演出:島林愛、関美能留、前田司郎、三浦大輔
ニセS高原からHP http://nise-s-kogen.com/
4つ観るの大変でしたが、面白かったです。
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本家「S高原から」を観た時の記事:
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-01-04-1
七月大歌舞伎 「NINAGAWA十二夜」 [演劇]
七月の歌舞伎座の演目は、シェークスピアの「十二夜」。
蜷川幸雄さん演出です!
串田和美さん、野田秀樹さんに続いての、
伝統芸能と現代演劇の競演。
蜷川さんは観客を驚かすのが好きです。
驚かすことで観客を一気に日常から舞台の世界に引きずりこむ訳で、
幕開けに色んな仕掛けを持ってくることが多いです。
今回は、舞台を一面覆う鏡で観客の度肝を抜きました。
他にも、チェンバロを用いた音楽が流れたり、
暗転を多用した照明だったり、
いろいろ驚きがありましたが、
実は想像以上に歌舞伎のもつ古典のよさを残す演出だった気がします。
最近の蜷川さんは役者を生かす演出スタイルが多いですが、
歌舞伎の役者さんの実力を生かすとなると、
自然と歌舞伎に戻ってきちゃうのかなと思います。
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七月大歌舞伎 「NINAGAWA十二夜」 @歌舞伎座
作:W・シェクスピア 訳:小田島雄志 脚本:今井豊義
演出:蜷川幸雄 装置:金井勇一郎 照明:原田保
出演:尾上菊五郎、尾上菊之助、中村時蔵、中村信二郎、尾上松緑、市川亀治郎、市川段四郎、市川左團次 他
松竹 http://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/0507/
コクーン歌舞伎 「桜姫」 [演劇]
お姫様から最後は女郎にまで身を落とす桜姫。
彼女に惹かれるものを、悲運な運命に巻き込みながら、
名前のごとく最後には満開に花開き、舞散っていく姿。
最高でした!
現代演劇の演出家串田和美さんと歌舞伎の競演。
8月の歌舞伎座では串田演出「法界坊」の再演(歌舞伎座初演)が。
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「桜姫」@シアターコクーン
作 四世鶴屋南北 演出 串田和美
桜姫 中村福助
清玄 権助 中村橋之助
入間悪五郎 中村勘太郎
粟津七郎 中村七之助
役僧残月 坂東弥十郎
局長浦 中村扇雀
口上 あさひ7オユキ(朝比奈尚行)
シアターコクーン http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/sakura/
松竹 http://www.shochiku.co.jp/play/others/cocoon/0506/
ブロードウェイミュージカル「プロデューサーズ」 [演劇]
ニューヨーク・ブロードウェイよりも
ロンドン・ウェストエンドのミュージカルの方が
どうも好みのような気がしています。
どちらも本場で観たことはないのですが。。。
ブロードウェイミュージカル「プロデューサーズ」が東京にくるとのこと、
しかも2001年の初演はトニー賞を12部門受賞とのこと、
念のため観にいってみたら、
面白かったです♪
三谷幸喜さんも好きというメル・ブルックスのコメディーに
スーザン・ストローマン(”コンタクト”)というブロードウェイの本格派が助っ人で参戦。
下手するとドリフ的なコントになりかねないところを、
見事にブロードウェイ作品としてみせてくれます。
コメディーとしてミュージカルとして
1度で2度楽しめるミュージカルでした。
(誤解を生みそうですが、ドリフのコントもそれはそれで好きです)
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ブロードウェイミュージカル「プロデューサーズ」@東京厚生年金会館
2005 7/6-24
脚本・作詞・作曲:メル・ブルックス、演出・振付:スーザン・ストローマン
The Producers (Original Broadway Cast Recording)
- アーティスト: Jesse Levy, Stephanie Cummins, Mel Brooks, Patrick S. Brady, Grace Paradise, Tony Kadleck, Dale Stuckenbruck, Laura Oatts, Laura Seaton, Naomi Katz
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2001/04/17
- メディア: CD
こちらはメル・ブルックスが監督した原作の映画
オセロ松嶋さん主演 ダンダンブエノ「礎」 [演劇]
オセロの松嶋尚美さんが舞台にでる
想像するだけでオモシロそう^^
行ってきました
観劇後の感想は、、、
変に笑いを取りにいっていない点、好感が持てました。
松嶋さんの場合、真面目に舞台に取り組んで正解です。
競演陣、作家さんにも恵まれて、
不思議な感覚の印象深い舞台でした。
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青山円形劇場は中央の舞台を挟んで、奥に客席が見えるのですが、
ぼくの反対側には、明らかに鶴瓶師匠が!
”きらきらアフロ”ファンには、奇跡の瞬間でした。
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劇団ダンダンブエノ 「礎(いしずえ)」 @青山円形劇場
2005 6/22-7/1
作:倉持裕 演出・出演:近藤芳正
出演;松嶋尚美(なほみ)、酒井敏也、山西惇
劇団ダンダンブエノ http://www.dandanbueno.com/
ついでに
きらきらアフロ http://www.tv-osaka.co.jp/ip/kirakiraafro/
この番組、ぼくの周りで見ている人いないんですが、、、なんででしょう?