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ク・ナウカ「山の巨人たち」 [演劇]

演劇は日常できない体験をしにいくものでもあります。
たとえば死に直面する体験とか。
観るほうもそんな体験をしに足を運びます。

表現方法は劇団によって異なります。

静かな演劇といわれる平田オリザ氏の青年団は、
日常的な会話やしぐさの中に見事にすべり込ませて、
登場人物の非日常的な感情の振幅を、あくまで自然に(日常的に)表現します。
観るほうは自然に非日常空間へと導かれます。

一方、宮城聰氏のク・ナウカは、
舞台を屋外にしたり、無国籍な音楽が生演奏されたり、、、
非日常を表現するための舞台装置がはじめから用意されています。
観るほうは演劇の始まりから非日常空間に迷い込みます。

そんなク・ナウカの「山の巨人たち」も
あっと驚く手法で非日常空間に迷い込まされました。
こんな体験をしたくて演劇を観に来てたんだって、
久しぶりに思いました。。。

観客を煙に巻く。
観客だって傍観者じゃいられない。
普通に演劇観れると思ったら大間違い。
こういった感じは寺山修司を思い出しますが、
ク・ナウカも実はこういう路線だったんだ、と再認識しました。
(ク・ナウカのアプローチは現代的な軽さがありましたが。)

その辺も計算に入っていたと思いますが、意外性がありました。
例えば、寺山修司が今この芝居をやっても意外性がありませんから、、、
難しいところです。

作者はイタリアのピランデルロ。
こんなモダンな演劇が1920年代の作品というのは驚きです。
この時代、絵画の世界でもモダン・アートが登場した時代です。
そんなモダン・アートも当時保守派からはアートじゃないと言われたりしましたが、
現在は確固たる地位を得ています。
一方、ピランデルロの演劇はまだまだ前衛的に感じます。
それだけ演劇に行くという行為が今でも馴れ合いの関係になっているのかもしれません。
気をつけねば。

追記:
黒テントがピランデロ作品を2005年10月やるようです。

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ク・ナウカ「山の巨人たち」 じつは 「作者を探す六人の登場人物」 @ザ・スズナリ
2005 2/25~3/6
作:ルイジ・ピランデルロ(訳:田之倉稔) 演出・出演:宮城聰

ク・ナウカ http://www.kunauka.or.jp/


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