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「太郎のなかの見知らぬ太郎へ」展@岡本太郎記念館 [岡本太郎]

「日本」を特徴付けるような言葉はいっぱいありますが、
「日本」をそういった「日本的なもの」で抽象化しようとしても
必ずこぼれ落ちるものがでてきます。
「日本」を本当に知るためには、
一度「日本的なもの」から解き放ってみることが必要です。

岡本太郎の縄文や東北、沖縄の発見は
「日本」を「日本的なもの」から解き放った一つの例です。
「日本的なもの」では収まりきらない原日本がそこにはありました。

そんな岡本太郎さん自身にも
いつのまにか「岡本太郎的なるもの」ができつつあります。
縄文であったり、呪術であったり、太陽の塔であったり、爆発であったり、、、、
「岡本太郎的なるもの」を軸に岡本太郎について語られることが多くなっています。

そこで、
かつて岡本太郎が「日本」を「日本的なもの」から解き放ったように
「岡本太郎」を「岡本太郎的なもの」から解き放つ企画が
岡本太郎記念館で開催中です。

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ゲストキュレーターの椹木野衣さんによるこの企画は、
以下のような手順を踏んで展示されています。

 ・まず、記念館にある太郎の平面作品を全点インデックス・カード化する。
 ・次に、このカードを二階から庭に向けて数回に分けて散布する。
  その後、庭に下り、端から順に拾って行く。
 ・全点拾い終わったら、カードをシャッフルする。
 ・展示室で作品をカードの並びに沿い配置していく。

キュレーター自身を含め誰かの意図や関心が一切入らないようにすることで、
「岡本太郎的なるもの」を排除した展示方式です。

作品名や制作年などの情報も全くなく、
展示室いっぱいに展示された作品群に向き合うこととなるこの展覧会で、
これまで出会えなかった「岡本太郎」が見つかるかもしれません。



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「太郎のなかの見知らぬ太郎へ」展@岡本太郎記念館
2006 10/18-1/21
 http://www.taro-okamoto.or.jp/
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黒い太陽と赤いカニ―岡本太郎の日本

黒い太陽と赤いカニ―岡本太郎の日本

  • 作者: 椹木 野衣
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本

今回のゲストキュレーターである椹木野衣さんによる岡本太郎論です。
とても読みやすく、また発見も多いです。


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コメント 4

sora_hikari

なかなかユニークな展示企画ですね。
2階から散布、、、っていう行為が
ちょっと馬鹿げていておもしろい。
岡本太郎は、今やブームとして記号化され
妙に神格化されたところがあって
どうもしっくりこないところがあるのですが
そういう先入観を消して接するのには
いい展示企画なのかもしれませんね。
by sora_hikari (2006-12-11 10:58) 

mckee

岡本太郎さんの彫刻や絵画に始めて接した時の感動って
岡本太郎さんを知れば知るほど少なくなってきている気がします。
岡本太郎さんをわかったつもりになってしまうことが、
一番危険ですね。
なんとなくそう思いました。

岡本太郎さんをお好きな方で、
「明日の神話」に物足りなさを感じた方が多かったような気がするのですが、
そんな方にもおすすめだと思いました。
by mckee (2006-12-11 23:46) 

ももこ

これ、みにいきたいです。
椹木さんって、オモシロイ。
あ、黒い太陽と〜やっと読んだんです。
おもしろかった!
by ももこ (2006-12-19 01:01) 

mckee

これはきっとももこさんにもおススメです。
黒い太陽~を読まれたならなおさらですね。

いくつかのキーワードで語れるほど人間って単純じゃないですね。
大竹伸朗さんもあれだけの量をもってしても語りきれないわけで、、、
岡本太郎さんも当然、、
by mckee (2006-12-19 20:41) 

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