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国立新美術館開館記念展 「20世紀美術探訪」 [20世紀美術(海外)]

国立新美術館の開館記念展。
「20世紀美術探訪 -アーティストたちの三つの冒険物語」
というタイトルからはあまり内容が見えてこないのですが、
500点以上の作品で20世紀美術を辿る展覧会です。

キーワードはさまざまな「物」と美術の関係。

自分なりに大雑把にまとめると、
第1部では「物」の存在論や認識論、さらに「物」と人の関係に絡めて、
静物画、キュビズム、シュルレアリスム、もの派、ミニマル・アート、ランド・アート、、、
などなどが展示されていました。

第2部では「物」の価値論や意味論、さらに「物」と社会の関係に絡めて、
レディメイド、ダダ、構成主義、ロシア・アヴァンギャルド、バウハウス、民藝、
ネオ・ダダ、ヌーヴォー・レアリスム、フルクサス、ポップアート、コンセプチュアル・アート、、、
などなどが展示されていました。

第3部では、現代アーティストによる作品が展示されています。

あまりにも作品数も種類も多岐にわたっていて、
個々の作品の関連性をすべて理解することは難しいのですが、
国立新美術館の広大な1Fフロアの半分以上を埋め尽くす
大きな美術の流れの中に身を置いてみると
各々の興味に応じて、それなりに発見がありそうです。

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個人的には民藝に興味があるので、
民藝の展示の仕方が面白いと思いました。

会場では
日用品を芸術にしてしまったデュシャンのレディメイドと
消費社会での量産品を芸術にしてしまったポップ・アートの間に
日用品に美を発見した民藝が展示されていました。

通常、民藝を海外の運動と結びつける場合、
モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動がまず挙げられますが、
今回のように20世紀美術の流れで捉えるのは面白いと思いました。

民藝のエリア脇に展示されていたバウハウスやロシア・アヴァンギャルド
などとの関連性を考えるのも面白く感じます。
工業化社会の中で消えていくものに美を見つけた民藝ですが、
工業化社会に新しい美を見つけたバウハウスやロシア・アヴァンギャルドにも
いくつか共通項があるような気がします。

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「20世紀美術探訪 -アーティストたちの三つの冒険物語」
@国立新美術館
2007 1/21-3/19
http://www.nact.jp/exhibition_special/2006/opening.html


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コメント 3

NO NAME

国立新美術館の企画、いろいろ良さそうですね。
「日本の表現力」を見に行きたかったのですが
時間切れになってしまいました。

20世紀美術探訪も見ごたえありそうですね。
ご紹介にある民藝の位置付けがユニーク
ですね。デュシャンとポップアートの間ですか。
なかなか考えられない構成ですが、
確かにデュシャンの美意識も、ポップアートの
視点も何気ない日常のものへの再定義という観点
で見れば民藝も結びついてくるように思いますね。
ただ時代への反逆性という点では、民藝は比較的
静かなムーブメントのように思います。

国立新美術館の学芸員の方々は、従来の美術館
とは違うチャレンジする気持ちが見えて、これからの
企画も楽しみですね。
by NO NAME (2007-02-05 01:00) 

sora_hikari

↑すみません、名前書いてませんでした。
by sora_hikari (2007-02-05 01:01) 

mckee

作品を鑑賞するとき、
個々の作品を個別に鑑賞する以外に
2つ以上の作品を比較鑑賞してみるのも楽しいですね。
比較の中で発見することも多いですし。

民藝を展覧会の会場で発見した時はびっくりしました。
民藝のヒューマニズムなイメージと
デュシャンやポップアートのイメージはずいぶん違いますし、
比較してみたことがなかったので。
でも、あらためて考えてみると
特にデュシャンと宗悦は同じ時代に生きていただけに、
共通項も多くありそうだなと感じてきています。


今回の展覧会では、
他にもいっぱいの作品が展示されていましたので、
sora_hikariさんも行かれたら
きっと多くの発見があるのじゃないかと思います^^。


返事が送れて申し訳ありませんでした。
最近忙しく更新もままならない状況ですが、
いつもコメントありがとうございます。
by mckee (2007-02-11 00:45) 

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