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庭と彫刻的空間 「重森三玲の庭」展 [日本美術]

少し前に「重森三玲の庭」展を観に行った後、
確か岡本太郎が日本の中世の庭を褒めていたなと思って、
最近、岡本太郎の「日本の伝統」を読みました。

岡本太郎は予定調和的でこじんまりした芸術を嫌い、
縄文土器の持つ調和を超えた緊張感を賞賛しましたが、
中世の庭も岩、樹木、砂、苔などが、
調和を超えた緊張感ある空間を作り出しており、
その点に岡本太郎も惹かれたのだと思います。

彫刻が何かを模すだけでなく、
その周りにオーラのような彫刻的な空間を
意識してつくるようになったのは
アルプやムーア、ブランクーシなど20世紀になってからだと思いますが、
中世の庭の作り出す空間は
20世紀彫刻の作り出した彫刻的空間を先取りしていたように見えます。

庭に惹かれて庭にこだわった芸術家にイサム・ノグチがいます。
彫刻家である彼が多くの庭園を手がけているのは、
どちらも緊張感のある彫刻的空間づくりという点で、
共通項があったからなんだと思います。

イサム・ノグチのユネスコでの仕事で色々指導したのが重森三玲。
「重森三玲の庭」展で重森三玲の仕事をいろいろ見ましたが、
緊張感ある空間作りに圧倒されそうな気がしました。

でも、本物の庭を見にいかないと。
彫刻的空間という観点でも見直してみたいです。

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「重森三玲の庭」@松下電工 汐留ミュージアム
2006 10/7-12/10
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日本の伝統

日本の伝統

  • 作者: 岡本 太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/05/10
  • メディア: 文庫


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コメント 4

rinko

重森三玲さんの展覧会、見に行きたかったのにすっかり忘れてた。
チケットかっこいいですね。
by rinko (2007-02-12 12:55) 

mckee

松下電工汐留ミュージアムは面白そうな企画が多いのですが、
見落としがちですよね。
チケットは重森三玲さんの意匠をうまく使って、かっこいいですね。
by mckee (2007-02-14 00:39) 

sora_hikari

庭と彫刻的な空間という意識はおもしろいですね。
確かに日本の庭に配された石や木や水の作り出すバランス空間と、
彫刻の取り巻く空間には通ずるものがあるように思います。
庭石はまさに彫刻物のようですし、その周りの具象物(木や水等)
だけでなく、風や音や季節を合わせて演出された「庭」は
総合的な彫刻と言えるかもしれません。
私もイサム・ノグチの作る彫刻やそれを取り巻く空間に魅せられます。
赤坂にある草月会館の1階にある水を使った石庭「天国」は、緊張感があって素晴らしいなと思います。
by sora_hikari (2007-02-14 00:53) 

mckee

昔、京都にもよく行っていたのですが、
仏像や襖絵、建物などに比べて
庭の見方はむずかしいなと思っていました。
庭の作り出す空間を見るという見方は、
今後庭を見る時の参考にしたいなと思っています。

数年前にイサム・ノグチ展が開催された際に
草月会館の「天国」も見ることができました。
イサム・ノグチの作り出す空間はすばらしいですね。

草月会館といえば、生け花も20世紀彫刻に通じるなと思います。
by mckee (2007-02-18 19:48) 

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