「柳宗理 生活の中のデザイン」展 [デザイン]
新国立美術館の開館記念展「20世紀美術探訪」展で、
民藝がデュシャンと一緒に展示されていて驚いたのですが、
民藝のそばにはバウハウスなども展示されていました。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2007-02-04-1
工業化社会の中で消えていく手仕事に美を見つけた民藝と
工業化社会の中で登場した新しい材料や技術に新たな美を見つけたバウハウスは
違うようでいて、共通項を感じます。
これは、民藝の創始者の柳宗悦さんと
バウハウスに影響を受けたその息子の柳宗理さん
の関係に似ているような気がします。
柳宗悦さんのいう手仕事と
柳宗理さんの工業(インダストリアル)・デザインは
一見相容れないような気がしますが、
柳宗理さんの語るデザインをいくつかを列挙してみると、
・アノニマス・デザイン
デザイナーのタッチしない、自然に生まれた無意識の美
見てくれとか流行とかに影響されない
・マス・プロダクト
大量生産を前提とする
ただし、オーバー・プロダクトではない
・機能性
機能性に優れ、すぐれた技術や材料が使用されている
・美的造形
いくら機能性に優れていても美しくなければダメ
一方、柳宗悦さんの民藝をなんとなく要約すると、
・無名の職人が作っている、安くて使いやすいもの
・用の美(機能的に無駄がなく美しい)
柳宗理さん自身、本の中で語っておられますが、
柳宗理さんの語る言葉は、
どれも柳宗悦さんの民藝に通ずるものがあるような気がします。
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柳宗理さんのデザインされたものを改めて見ると、
あまりに生活になじみやすいデザインのため見逃してしまいそうなんですが、
厳しい美意識のもとで考え抜かれたものなんだなと思いました。
生活になじみやすいデザインも
美に対する厳しさも
やはり民藝に通じる気がします。
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「柳宗理 生活の中のデザイン」展 @東京国立近代美術館
2007 1/19-3/4
こんにちは。
民芸とバウハウスはなんとなく理解できますが
民芸とデュシャンはどういう繋がりなんでしょう・・・。
柳宗悦さんと柳宗理さんの関係は
すごく時代の流れに合っていて面白いと思います。
by y_and_r_d (2007-03-22 10:43)
こんにちは。コメントありがとうございます。
民藝とデュシャンは意外な組み合わせですが、
デュシャンも権威的な美術品でなく日常品に美を見つけた点で
少し似ているのかもしれません。(美の解釈はずいぶん違いますが)
背景となる時代も近いのもポイントのような気がします。
柳宗悦がデュシャンについて語った文章があれば読んでみたいです。
柳宗悦・宗理親子は時代は違っても精神は似ている気がします。
現代における民藝の精神はどのような形なんでしょうね。
by mckee (2007-03-22 14:34)
柳宗理さんのデザインされたものは
作られた当時とは違った形で再認識され
価値評価が高まっているように思います。
古すぎない新しさというか、新しすぎない古さというか
デザインされてシンプルなんだけれどちょっと懐かしさも
感じさせる今レトロ(造語)、そんな感じがするんです。
基本がしかっりしていると時間を経ても
魅力が伝わるのでしょうね。
by sora_hikari (2007-03-25 09:31)
60年代や70年代の音楽やファッションが見直されたりしますが、
当時を知らない世代にとっては
懐かしさ以外に発見の意味もあるような気がします。
柳宗理さんのデザインされた製品は、
僕にとっては発売当時を知らないという意味で新鮮な発見なんですが、
やっぱりなんだか懐かしい感じがします。
これが今レトロなのかもしれませんね。
今レトロは、憧れでもあるような気がします。
今の時代では生まれない空気を持っていますよね。
by mckee (2007-03-26 20:16)