神の視点 アンドレアス・グルスキーの写真 [写真]
神が世界の中心だった中世の絵画は
細部まで丹念に描かれています。
昔の神様はすべてを見通す視点を持っていたようです。
あるときから、神様は人間的な視点を持つようになって、
一定の視点からものをみるようになりました。
「遠近法」の誕生です。
時代は下ってカメラが誕生し、
「遠近法」的な視点は容易に手に入るようになりました。
カメラのレンズは一定の視点の極限です。
しかし、デジタルの時代となると話は変わります。
アンドレアス・グルスキーの作品は
「遠近法」的な構図をとりながらも、
デジタル的な処理によりピントが隅々にまであたる写真作品で有名です。
”ピントが隅々にまであたる”というのは
細部まで丹念に描かれた中世の絵画のようにでもあります。
昔の神様ようなすべてを見通す視点に近い新たな視点の提示です。
人間中心の「遠近法」的な視点が主流の世の中で、
すべてを見通す神の視点は、世界の見え方を変えてくれるような気がします。
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アンドレアス・グルスキーさんの実際の作品をみると
作品のサイズが想像以上に大きくて圧倒されます。
現在、東京では原美術館で開催中の
「舞いおりた桜 ザハ・ハディットとめぐるドイツ銀行コレクション」展
で見ることができます。
アンドレアス・グルスキーさんの作品が一部屋ひとりじめという
贅沢でもっともふさわしい展示でした。
一方、「ドイツ写真の現在」展は
東京と京都の国立近代美術館を巡回して
今は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて 5/7迄
ベッヒャー夫妻、ヴォルフガング・ティルマンスなどとともに
アンドレアス・グルスキーさんの作品も展示。
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「舞いおりた桜 ザハ・ハディットとめぐるドイツ銀行コレクション」展
@原美術館 2006 3/25-5/21
原美術館 http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
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