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万博をめぐる人々 吉見俊哉「万博幻想」 [文化]

万博幻想―戦後政治の呪縛

万博幻想―戦後政治の呪縛

  • 作者: 吉見 俊哉
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 新書

もうすでに愛知万博に2回も行ってるのに、
「万博幻想」なんて本を読んでいいのか?との意見もあるでしょうが、
一応、万博に興味がある、ということでお許しください。
より正確に言えば、万博をめぐる人々に興味があるんですが。。。

万博をめぐる人々といえば、
万博推進派と反対派という単純な構図が浮かびますが、
愛知万博の場合は3つに分かれます。

 1.「海上の森」を中心に初期の愛知万博を構想・推進した人々
 2.自然保護の立場から「海上の森」の愛知万博に反対した人々
 3.現在の形の「青少年公園」(=長久手メイン会場)を中心とした愛・地球博を推進した人々

愛知万博は、大阪万博跡地が千里ニュータウンになったように、
最初期は万博と開発がセットで考えられてました。
しかし、上記1と2の人々の間で、
里山である「海上の森」での万博開催の是非について議論を重ねる中で、
愛知万博構想は環境型へとシフトしていきました。
そして、愛知万博は開催されることとなりました。
「巨大映像」や「大観覧車」のない万博として。。。

しかし、「海上の森」で希少野生動物のオオタカの巣が
見つかったことから事態は混迷していきます。
「海上の森」での大規模な万博開催を断念せざる得ない事態となると、
近くの「青少年公園」(=長久手会場)を中心とした万博構想がクローズアップされます。
上記3の人々にとって、多くの入場者を期待できない「海上の森」構想は魅力のないものでした。

ここで、「海上の森」での愛知万博反対という点で、
上記2と3の人々の利害が一致してしまったため、
1の人々の立場は一気に悪くなります。
初期構想の「海上の森」を中心とした万博は立ち消えてしまいました。

そして愛知万博は愛・地球博と名前を変え
長久手会場をメイン会場として2005年3月開幕しました。

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多くの議論が交わされながら、
結果的には従来と大きな差のない万博となってしまったようにも見えます。
強い統一感のある初期構想時の万博に比べ、
なんとなくまとまりのない万博にも見えます。
しかし、万博をめぐる様々な人々の思惑が
そこかしこに残されている愛知万博は、
まだ、魅力を秘めていると感じます。
重ねられた多くの議論は無駄ではありません。
まとまりのない万博の持ついろんな顔を捜す旅に出ましょう!

ぼくは、、、もう1回だけ行ってきます。
呆れられながら。。。(汗)

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初期構想の愛知万博は原研哉さんの「デザインのデザイン」が詳しいです。
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-04-08-3

北川原温さんはさらに初期のメンバー。
海上の森を舞台とする愛知万博の最初のマスタープランを作られた方です。
 http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-05-25 

最近の谷口吉生さんの展覧会にも「海上の森」のパビリオン案が展示されてました。
実現は、、、されませんでした。
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-04-25-1

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愛・地球博会場で大観覧車に乗る子供達の笑顔を見て、
これでよかったのかなぁと思いながら、
初期構想の愛知万博を夢見たりします。

 愛・地球博HP http://www.expo2005.or.jp/jp/index.html


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