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白洲正子さんに導かれて 塩田平から別所へ [日本美術]

信州上田の市街地から西に行くと
塩田平と呼ばれる盆地が広がっています。
山麓には寺社がいくつか点在し、また別所温泉があります。

先日記事にした無言館もここにあります。
 http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2009-03-26

無言館とともに、寺社も巡ってきました。

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今回の旅は
白洲正子さんのエッセイに導かれて
行ってきました。

白洲さんのエッセイ「姥捨山の月」は
信州の旅を書いたものですが、
塩田平や別所も登場します。

白洲さんが惹かれただけあって、
立派な寺社がいくつもあります。

鎌倉時代に塩田北条氏が築いたものも多く、
”信州の鎌倉”という言葉をよく見かけました。

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独鈷山麓の前山寺は三重塔が目印です。

090330 前山寺.JPG
のどかな風景の中にとても立派な塔が建っていました。


前山寺に程近い同じく独鈷山の山裾には中禅寺があります。

090330 中禅寺2.JPG

そんな中禅寺には薬師堂が建っています。

090330 中禅寺.JPG
白州さんも「こんな美しいお堂ははじめて」と書いていますが、
茅葺のお堂は周りの風景にもなじんで、とても美しいお堂でした。

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温泉の湧く別所には
安楽寺、常楽寺、北向観音の三つのお寺があります。

まずは北向観音を訪れました。

090330 北向観音.JPG
北向観音では通常南面する観音様が北向きに安置されています。
一般に善光寺の方角を向いていると言われていますが、
白州さんは別の説も披露しています。


北向観音からしばらく歩くと安楽寺があります。

090330 安楽寺2.JPG
安楽寺にはとても立派な八角三重塔がありました。
白州さんは「老杉のそびえる景色の中には、少々立派すぎる嫌いもない」
と書かれていますが、
珍しい八角の三重塔に出会えてとてもうれしかったです。
090330 安楽寺3.JPG


安楽寺からさらに歩くと常楽寺があります。

090330 常楽寺.JPG
常楽寺には石造の大きな多宝塔があります。

背後の山に溶け込むように立つ多宝塔を見ながら、
本家鎌倉の風景を思い出しました。
よく考えてみるとどちらも盆地。
山に囲まれた場所はきっと特別な意味があったんでしょうね。

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白州さんのエッセイ「姥捨山の月」は
「十一面観音巡礼」に収録されています。

白州正子さんのエッセイは深い知識やそれに基づく洞察が
いっぱい詰め込まれていてとても読み応えがあります。
歴史や文学だけでなく、植物や風景なんかにも目を配っていたりして、
本当にすばらしい眼をお持ちだなと思います。
うらやましいです。



十一面観音巡礼

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  • 作者: 白洲 正子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 単行本



十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

十一面観音巡礼 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

  • 作者: 白洲 正子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1992/08
  • メディア: 文庫





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