「ブルーノ・タウト展」アルプス建築から桂離宮まで [建築]
桂離宮を<再評価>したといわれるブルーノ・タウト
桂離宮の簡素な美はよくモダニズムとして評価されているので、
ブルーノ・タウトの評価もこの文脈でのものかと思えば、
どうもそう簡単ではないようです。
タウト自身の代表建築もモダニズムより
色彩感覚にあふれた表現主義的なものが多いようですし。
では、ブルーノ・タウトは桂離宮のどこを評価したのか?
というのがなんとなく疑問だったのですが、
タウトのドローイング集「アルプス建築」を本展覧会で見て、
なんだか理解できた気がします。
「アルプス建築」はアルプスという自然のなかに、
うまく溶け込みながら人間が暮らすための都市計画が、
ドローイングとして描かれています。
この「アルプス建築」のようにタウトにとって
建築と自然との関係が重要な位置を占めていたようです。
タウトの桂離宮評価も日常生活と自然と建築の関係性に
理想をみたからではないかと思います。
「生活そのものがもっとも簡素な形式を与える 自然は形式である」
- ブルーノ・タウト
ブルーノ・タウト展のカタログにはこんな言葉も
自然に同調しようとする創造の思いが
日本美を成しているということを、
ブルーノ・タウトによって、わたしたちはあらためて強く知る
- 深澤直人
日向邸の部屋からは熱海の海が一望できる。
「自然と人間」の関係性をもっとも重視する
タウトの思想が現れている
- 隈研吾
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「ブルーノ・タウト展」アルプス建築から桂離宮まで @ワタリウム美術館
2007 2/3-5/27
http://www.watarium.co.jp/exhibition/0702_taut.html
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ブルーノ・タウトの本はこれまで読んでいなかったのですが、
タウト自身の言葉が読んでみたくなりました。
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本展覧会でのもう一つの発見は、
タウトが民芸の柳宗悦と友人関係だったこと。
手紙等が展示されていました。
2人の共通点を考えるのも楽しいかもしれません。