器に見るモダニズム 「ルーシー・リー展」 [巨匠・人間国宝]
ルーシー・リー展、
2003年の展覧会は静かな感動の連続でしたが、
2005年の展覧会も、、、静かな感動の連続でした!
やっぱり、、、いいです。
関連する過去の記事:「ルーシー・リー展」が再びやってくる
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-07-11
イギリスでバーナード・リーチのアドバイスを受けたりしていた時代の作品も展示。
その後、彼女はリーチとは別の独自のスタイルを突き進みますが、
リーチへの尊敬の念は消えなかったようです。
バーナード・リーチとルーシー・リーの場合、
スタイルというより精神で繋がっていた気がします。
通常器を見下ろしながら鑑賞することが多いのですが、
会場のソファに座ると、器と同じ高さで作品を見ることができることに気づきました。
高い高台を持つ独特のフォルムを堪能できます。
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ルーシー・リー展 @ニューオータニ美術館
2005 9/10-11/20
ニューオータニ美術館 http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/lucie/index.html
「ニセS高原から」 S高原から連続上演 [演劇]
人間の内側と外側にはちがう世界が広がっている。
例えば、理想と現実とか、本音と建前とか、、、?
通常、内側を「エゴ(自我)」、外側を「外界」とよび、
その間に「セルフ(自己)」が挟み込まれているモデルで説明されています。
セルフはエゴと外界に挟み込まれて、
様々な葛藤を引き起こします。
理想と現実、本音と建前、、、イライラ、イライラ、、、
これが人間的存在です。
エゴとセルフの葛藤は人間的存在の基本で、
様々な文学で扱われてきました。
そして、演劇でも。
演劇でエゴとセルフの葛藤の図式を好んで用いている方に
青年団の平田オリザさんがいます。
さすが理論派ということで、意図的に用いていることを明言されてます。
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「ニセS高原から」は平田オリザさんの戯曲「S高原から」を元に、
4人の演出家が4種類の「S高原から」を上演する企画です。
高原のサナトリウムを舞台にしたこの作品にも
エゴとセルフの図式を当てはめることが可能です。
不治の病の患者たちのさりげない日常の中に
様々なエゴとセルフの葛藤が描かれています。
エゴとセルフの葛藤に対し人間がとる行動は様々です。
4人の演出家は夫々どう対処したでしょうか?
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ポツドールの三浦大輔組は
エゴとセルフの葛藤によるイライラを隠すことなく
表情やことばに表していく登場人物が多く感じます。
一方、五反田団の前田司郎組は
エゴとセルフの葛藤からどうにか回避しようとしている登場人物が多く感じます。
必死に逃げている感じ。
でも、素直な気持ちを表す三浦大輔組に人間の弱さを、
一方逃げる前田司郎組に逆に人間の強さを感じます。
蜻蛉玉の島林愛組は
戯曲の登場人物の男女をほぼすべて入れ換え演出します。
戯曲で描かれるエゴとセルフの葛藤の人間としての普遍性を示してくれているようです。
三条会の関美能留組は
本音と建前の入り乱れる強烈な演出。
死を身近に生きる主人公達は最後まで笑い叫んでいました。
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小説の世界でもエゴとセルフの葛藤は描かれています。
村上春樹さんの「若い読者のための短編小説案内」では、
村上春樹さんが「第三の新人」を中心にエゴとセルフの図式で小説を解読しています。
エゴとセルフの葛藤への様々な対処法が見てとれます。
(今回の記事の参考にしました。過去の記事でもたまに。。。)
きっと、村上春樹さん自身の小説にもエゴとセルフの図式が
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「ニセS高原から」@こまばアゴラ劇場
2005 8/28-9/27
作:平田オリザ 演出:島林愛、関美能留、前田司郎、三浦大輔
ニセS高原からHP http://nise-s-kogen.com/
4つ観るの大変でしたが、面白かったです。
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本家「S高原から」を観た時の記事:
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-01-04-1