ザッキン美術館へ [20世紀美術(海外)]
パリでもザッキン美術館にも行ってきました。
先に記事にしたギュスターヴ・モロー美術館と同様、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2011-02-11
ザッキンが住居兼アトリエとして使用した建物が
そのまま美術館として公開されています。
どちらも比較的小さな美術館ですが、むしろそこがいいところです。
作家の世界観を体感できる素敵な場所でした。
ザッキンの作品はキュビズム風の作品が有名ですが、
アフリカからの影響を感じるプリミティブな魅力を持つ作品も多くあり、
特に惹かれました。
モディリアーニの彫刻作品に近いものを感じます。
ぼくが訪れたときは、
ブラジル出身の現代作家Julio Villaniさんの作品も
一緒に展示されていました。
(ウサギのお面の作品など)
子供のようにアートを楽しんでいる感じが伝わり
こちらも楽しい気分になりました。
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Musée Zadkine http://www.paris.fr/portail/loisirs/Portal.lut?page_id=6471
Julio Villani HP http://www.juliovillani.com/
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ギュスターヴ・モロー美術館へ [20世紀美術(海外)]
パリではギュスターヴ・モロー美術館にも行きました。
モローが住居兼アトリエとして過ごした建物が
そのまま美術館として公開されています。
内装もモローの作品に非常に合っていて、
彼の世界観を堪能できます。
展示の核はモローの手元に残っていた
習作や未完の作品が中心ですが、
↓の作品は珍しい完成品です。
「Jupiter et Sémélé」
モローの作品はどれも精密に描かれていて
近くで見ると宝石のように美しいです。
できるだけ近寄って見るのがおススメです。
凝縮された美のぎっしり詰まった美術館でした。
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musée Gustave Moreau http://www.musee-moreau.fr/index_u1l2.htm
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ブランクーシのアトリエ@パリ・ポンピドゥーセンター [20世紀美術(海外)]
パリのポンピドゥーセンターに
ブランクーシのアトリエが再現されているので行ってきました。
もともとモンパルナス地区にアトリエはあったようですが、
地区整備で取り壊しが決まったので本人がアトリエ全体を寄贈し、
現在のように再現公開にいたるようです。
おかげで、いつでもアトリエの雰囲気を体感できます。
対象の本質を捉え
無駄な部分を削ぎ落としていく
ブランクーシの彫刻はこんなイメージです。
ロダンの影響の大きかった近代彫刻の中で
ブランクーシの彫刻は画期的だと思いますし、
同時代の作家の中でも特に際立っているように感じます。
整然と並ぶ道具類を見て、
作家の奥にある職人の部分を覗き見た気分になりました。
訪ねたのは閉館間際で暗かったのですが、
本来は自然光を多く取り入れた設計のようです。
今度は昼間に訪ねてみたいです。
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l'Atelier Brancusi http://www.centrepompidou.fr/Pompidou/Manifs.nsf/AllExpositions/CBF512F1F1F1B06FC12576B3003812B8?OpenDocument&sessionM=2.1.1&L=1&form=Actualite
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マン・レイのお墓参りの際に、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2011-02-09
ブランクーシのお墓にも行ってきました。
アトリエと同地区のモンパルナス墓地にあります。
モンパルナス墓地の中には
ブランクーシの代表作「接吻」を使用したお墓もありました。
ブランクーシとゆかりのある方なのでしょうか?
Brancusi: L'Atelier la Collection
- 作者: Doina Lemma
- 出版社/メーカー: Centre Georges Pompidou Service Commercial
- 発売日: 1997/02
- メディア: ペーパーバック
Brancusi Photographs Brancusi (Art Memoir)
- 作者: Elizabeth A. Brown
- 出版社/メーカー: Thames & Hudson Ltd
- 発売日: 1995/08/21
- メディア: ハードカバー
マン・レイとジュリエットのお墓@パリ・モンパルナス墓地 [20世紀美術(海外)]
昨年、マン・レイの展覧会に行ってきたのですが、
http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2010-07-21
その際に見たマン・レイと奥さんジュリエットのお墓の写真が印象的で
とても気になっていました。
パリ旅行の際、足を運んでみました。
先の展覧会は
マン・レイが最後にたどり着いた奥さんジュリエットの存在が
通奏低音のように響いて、心地よい展覧会でした。
マン・レイとジュリエットの手元に最後まで残って
ジュリエットの愛した作品が出展の核だったことや、
年代順に展示され最後にジュリエットの時代で終わったことなどが
その理由だと思います。
マン・レイとジュリエットのお墓へは、
先の展覧会から不思議と自然な流れで行けました。
マン・レイの墓石に刻まれた言葉は、
「Unconcerned, but not indifferent」(無頓着、しかし無関心ではなく)
ジュリエットが選んだマン・レイの言葉で、
先の展覧会のサブタイトルにもなっていた言葉です。
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モンパルナス墓地には他にも有名人がいっぱいいました。
サルトル、ボードレール、セルジュ・ゲンズブール、ブランクーシ、、、
ただ、探すのは結構大変でした。
マン・レイとジュリエットのお墓は比較的探しづらかったです。
時間にはゆとりをもっていくことをおススメします。
Cimetière du Montparnasse http://www.arotel.com/cimet.htm
「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」 @国立新美術館 [20世紀美術(海外)]
マン・レイ展に行ってきました。
マン・レイと奥さんのジュリエットの手元にあった作品を管理する
マン・レイ財団所蔵の作品を一堂に集めた展覧会です。
マン・レイ財団に所蔵される前には競売も行われたようで、
主に競売で残った作品がマン・レイ財団に所蔵されたようです。
そのためか、本展覧会の作品は通常の展覧会で見られるような
いわゆる代表作は抑え目に感じます。
でも、そこがこの展覧会のいいところのような気がします。
結果的に、”知られざる創作の秘密”という本展覧会のサブタイトルどおり、
代表作の生まれた舞台裏を覗き見ることができるような展覧会となっています。
例えば、本展覧会には通常の展覧会ではあまり見られない
マン・レイの絵画作品も多く展示されていて、
写真家マン・レイだけでなく画家マン・レイの姿が強く浮かび上がってきます。
そう思ってみると、マン・レイの代表的なスタイルである、
演出の強い写真作品やレイヨグラフのような写真作品は
写真作品でありながら絵画的なセンスを感じます。
本人は写真家とだけ受け止められることを強く嫌がっていたようですが、
彼の画家へのこだわりが上記のような独自の写真作品を作り出したようにも感じます。
その結果、写真家としての名声がますますあがったことはやや皮肉なことですが、、、
多角的な展示でマン・レイの創作の秘密を
いろいろ想像してみることのできる展覧会でした。
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「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」 @国立新美術館
2010/07/14-9/13
http://man-ray.com/
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「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」展 [20世紀美術(海外)]
「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」展に行ってきました。
UBSアートコレクションは
1960年代から1990年代頃の作品を中心に、
比較的評価の定まった作品を戦略的に収集しているようで、
出展された作家名にはビッグネームが揃っています。
1960~90年代頃の重要な作家の作品を
まとまって見ることのできる機会は実はなかなか無いので、
かなり期待していましたし、楽しめました。
国際的な金融機関であるUBSがスイスにあるためか、
スイスやドイツの作家を中心に
ヨーロッパの作家作品がいっぱいあったのもうれしかったです。
ドイツはベッヒャー夫妻以来の写真の伝統がありますが、
アンドレアス・グルスキー、トーマス・ルフ、トーマス・シュトゥルート
など写真作品も多く出品されていました。
日本人作家も出展さていましたが、
荒木経惟、杉本博司、森村泰昌、宮本隆司、畠山直哉と
写真作品が続きます。
企業のコレクションということで、
オフィス環境を会場に再現してありましたが、
ゲルハルト・リヒターの作品が掛けられた職場なら、
是非働いてみたいです。
The UBS Art Collection http://www.ubs.com/4/artcollection/index.html
一番手前が本展覧会のジョナサン・ボロフスキーの作品「ART IS FOR THE SPIRIT」
一番右がゲルハルト・リヒターのフォト・ペインティング作品
他にグレイ・ペインティング作品、さらにアブストラクト・ペインティング作品もありました。
過去のゲルハルト・リヒター関連記事:http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2006-01-25-1
一番手前がアンドレアス・グルスキーの作品。
お気に入りの作家の一人です。
過去のアンドレス・グルスキー関連記事:http://mckeee.blog.so-net.ne.jp/2006-04-14
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「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」展@森美術館
2008/2/2-4/6
http://www.mori.art.museum/contents/art/index.html
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今回の展覧会の恰好の参考書があります。
最初にチャック・クロースとトーマス・ルフのポートレート作品が出てくるあたりは
偶然にも展覧会の構成と重なります。
BRUTUSは不定期にアート特集がありますが、
UBSアートコレクション展も取上げられていました。
BRUTUS (ブルータス) 2008年 2/15号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 雑誌
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森美術館の次回展覧会は「ターナー賞の歩み展」とうことで、
こちらも楽しみです。
ユニクロのポップアートTシャツ [20世紀美術(海外)]
03年のへリング、バスキアにはじまり、
04年にはウォーホル、リキテンスタインの両巨匠、
そしてクルーガーなどなど
ポップアートアーティストの作品を引用した
ユニクロのポップアートTシャツは、
ついつい買ってしまったものの、
当時はなんとなく着る機会がありませんでした。
街角で同じTシャツの方に出会ってしまうような気がして。
最近は安心して着ることができます。
今思うと、素敵な企画だったなと思います。
中にはいいデザインのものも含まれていたし、
特にバーバラ・クルーガーはメッセージも含めてお気に入りです。
1500円という値段も驚きです。
今年はジャパニーズ・ポップカルチャー企画があるので、
ポップアートはお休みなのでしょうか?
またやっていただけるとうれしいです。
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ポップアートといえば
昔はウォーホルやリキテンスタインしか知りませんでしたが、
彼らの活躍した60年代以降のアーティストも
見逃せないです。
少し前の本になりますが、
こちらの本で色々知りました。
また、ミスミアート・コレクションに基づく
「ポップ・アートin U.S.A」展でも
ウォーホルやリキテンスタイン以降の
ポップアートやその周辺のアーティストの作品を
見ることができます。
最近、茨城で開催されていましたが、
ぼくは東京で昨年観ました。
鳥取、東京、茨城と約1年おきに開催されているので、
またどこかできっと開催されるのではないかと思います。
国立新美術館開館記念展 「20世紀美術探訪」 [20世紀美術(海外)]
国立新美術館の開館記念展。
「20世紀美術探訪 -アーティストたちの三つの冒険物語」
というタイトルからはあまり内容が見えてこないのですが、
500点以上の作品で20世紀美術を辿る展覧会です。
キーワードはさまざまな「物」と美術の関係。
自分なりに大雑把にまとめると、
第1部では「物」の存在論や認識論、さらに「物」と人の関係に絡めて、
静物画、キュビズム、シュルレアリスム、もの派、ミニマル・アート、ランド・アート、、、
などなどが展示されていました。
第2部では「物」の価値論や意味論、さらに「物」と社会の関係に絡めて、
レディメイド、ダダ、構成主義、ロシア・アヴァンギャルド、バウハウス、民藝、
ネオ・ダダ、ヌーヴォー・レアリスム、フルクサス、ポップアート、コンセプチュアル・アート、、、
などなどが展示されていました。
第3部では、現代アーティストによる作品が展示されています。
あまりにも作品数も種類も多岐にわたっていて、
個々の作品の関連性をすべて理解することは難しいのですが、
国立新美術館の広大な1Fフロアの半分以上を埋め尽くす
大きな美術の流れの中に身を置いてみると
各々の興味に応じて、それなりに発見がありそうです。
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個人的には民藝に興味があるので、
民藝の展示の仕方が面白いと思いました。
会場では
日用品を芸術にしてしまったデュシャンのレディメイドと
消費社会での量産品を芸術にしてしまったポップ・アートの間に
日用品に美を発見した民藝が展示されていました。
通常、民藝を海外の運動と結びつける場合、
モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動がまず挙げられますが、
今回のように20世紀美術の流れで捉えるのは面白いと思いました。
民藝のエリア脇に展示されていたバウハウスやロシア・アヴァンギャルド
などとの関連性を考えるのも面白く感じます。
工業化社会の中で消えていくものに美を見つけた民藝ですが、
工業化社会に新しい美を見つけたバウハウスやロシア・アヴァンギャルドにも
いくつか共通項があるような気がします。
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「20世紀美術探訪 -アーティストたちの三つの冒険物語」
@国立新美術館
2007 1/21-3/19
http://www.nact.jp/exhibition_special/2006/opening.html
フランク・ステラのピン・バッチ [20世紀美術(海外)]
フランク・ステラは好きな芸術家の一人です。
日本で収蔵している美術館も多いのですが、
川村記念美術館はステラのコレクションで有名です。
これまでも絵葉書は結構集めていたのですが、
川村記念美術館で小さなピンバッチを見つけました。
スケールや形が重要なステラ作品ですが、
こんなに小さくなったステラ作品も面白く感じます。
川村記念美術館 http://www.dic.co.jp/museum/
作品集も持っているのですが、
フランク・ステラの場合、
実際の作品を見に行ったほうがよさそうです。
愛知県美術館の常設展で見た作品はとってもスケールが大きくてビックリしました。
こんな立体作品もステラの作品"Luneville"(フランスの都市名?)
川村記念美術館の美術館入り口に常設されています。
「アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに」展 [20世紀美術(海外)]
細長い人体彫刻のイメージが強いジャコメッティですが、
”目に見えるものを見えるとおり表す”
という命題に、忍耐強く挑戦し続けた彫刻家だそうです。
”目に見えるものを見えるとおり表す”とは、
カメラで写したり、型をとったりしたような分身を作る
ということではなさそうです。
人が何か見るとき
ただ対象(の形)だけを見ているのではなく、
その対象の置かれた環境や空間も同時に見ていますし、
他にも対象のかたち以上の様々なことを見ています。
ジャコメッティの”目に見える”とは、
かたちにこだわらない、より大きな広がりをもった視覚で対象を見ること
だったのだろうと思います。
そう考えると
”目に見えるものを見えるとおり表す”
って結構難しいことです。
ジャコメッティの作品は、
まさに、忍耐強い日々の努力の積み重ねの結果生まれた作品でした。
日々の努力で生まれた作品に独特の重みというか深さを感じるのですが、
ジャコメッティの作品からもそんな重みや深さが伝わってきて、
それが人を感動させるのかと思いました。
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「アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに」展
@川村記念美術館
2006 10/10-12/3
http://www.dic.co.jp/museum/exhibition/giacometti/index.html