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桑原哲夫さんの真ちゅうつる土瓶 [やきもの]

茨城県笠間の陶器市「陶炎祭(ひまつり)」に今年も行ってしまいました。

陶器市の魅力は、
普段出会えない作家さんから直接買えること、
店ではありえないくらいいっぱい商品があって、
その中からお気に入りのものが選べること、
中には店に出してない試作品もあったり、
値段的にもちょっとおまけしてもらえたり、、、
いろいろありますね。

今回なんとなく惹かれたのが、桑原哲夫さんの土瓶や急須。
その中から粉引きの真ちゅうつる土瓶を買ってきました。
真ちゅうのつるが新鮮でした。
土瓶のフォルムもいいです。


商品でいっぱいの棚

陶炎祭 http://www.kasamayaki.or.jp/matsuri/index.htm


モダンでキッチュ 吉田鋼市「アール・デコの建築」と「アール・デコ展」 [建築]

アール・デコの建築―合理性と官能性の造形

アール・デコの建築―合理性と官能性の造形

  • 作者: 吉田 鋼市
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 新書

これまで勝手にモダニズムを理解していたつもりだったんですが、
この本のアール・デコ建築の定義を読んで、
いままでモダニズムと思ってたものが、
結構アール・デコだったんだということに驚きました。
改めて街を眺めてみるとアール・デコなビルがいっぱいです。

アールデコを「キッチュ」という言葉で説明されてますが、
キッチュとは、使い手に媚びたとも見える余計な装飾性を指すドイツ語で、
日本語では「下手(げて)もの」なんて訳すらしいです。
(電話やドアノブのレースのカヴァーが例として挙げられてるのが面白い)

機能的なモダニズムに遊び心的なキッチュが加えられたのがアール・デコの特徴といえますが、
アール・デコと呼ぶにはキッチュも洗練されたものでなきゃいけないようです。

そんなモダンなキッチュが人々の感性に訴えるんでしょうか?
人気の秘密はこんなところにありそうです。

モダンでキッチュ、探してみよ。

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ということで、「アール・デコ展」に行ってきました。
キッチュにあふれてました。
洗練されたものから、そうでないものまで、、、

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「アール・デコ展」@東京都美術館
2005 4/16-6/26

アール・デコ展 http://event.yomiuri.co.jp/artdeco/


様式vsモダニズム 井上章一「つくられた桂離宮神話」 [文化]

つくられた桂離宮神話

つくられた桂離宮神話

  • 作者: 井上 章一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 文庫

桂離宮のミニマルで無駄を排した建築が
モダニズムの観点で高い評価を得ています。
特に昭和初期のブルーノ・タウトによる桂離宮の「発見」以来。
時に、茶の世界や禅の世界を引き合いにだしながら、
日本人はもともと簡素なものを好むモダニズムの精神を持っている的な議論もあったりします。

一方で、日光東照宮の装飾過多な建築を
”日本らしくなくて嫌い”という人がいます。
曰く、大陸の文化の影響が感じられて日本らしくないとか、、、

でも井上章一さんの本によれば、
明治初頭の頃は、東照宮の装飾美が、
むしろ品格のある日本人的なものと思われていたようです。

そもそも、茶の湯や禅の世界だけで日本人を語れるでしょうか、
日本にはもっと多様な世界が存在していそうです。
どちらが日本人ではなくどちらも日本人というしかなさそうです。

いろんな時代背景の影響もあって、
東照宮的様式が好まれたり、桂離宮的簡素が好まれたりするわけですが、
一度、心をまっさらにしてみると、自分の好みの足元が不安になります。

様式が好きとか、モダンが好きとか、
人には好みがどうしてもあるわけですが、
一方でその理由を聞かれると困ってしまいます。
安易に日本人は昔から好きなんだって自分を納得させてしまいがちなんですが、
実はそれって何も語ってないのと同じだったりします。

変な先入観で自分の世界を閉じ込めるのをやめてみると、
いろんな「発見」がありそうです。
先入観のない外国人の評判が日本に逆輸入され
初めて日本人が気づくなんてこともあったりしますし、、、
(桂離宮もタウトによって発見された影響大きいです)

難しいんだけど、そんな先入観をなくしていろんなものに接していきたいと思っています。


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