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蜷川幸雄「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」 [演劇]

シアターコクーンにて
「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」を観てきました。
自分を自分の追っ手と思い込む狂気に襲われた将門をめぐる作品です。

権力と狂気は紙一重といいますが、
芸能と狂気も昔から紙一重。
そんな狂気を軽く演じきった将門役・堤真一の演技がよかったです。
本来、いろいろ解釈でき重くなりがちなテーマを、
逆に飄々と演じる姿は意表を衝かれ、面白く感じました。

戦時下など普通が普通でない状況などでは、
普通にしているほうが狂気に見られる場合があります。
そう考えれば、狂ってる将門の方が普通の将門だったという解釈は
十分ありえるような気がします。
(将門参謀三郎の妹で巫女のゆき女には
狂った将門の方が普通に見えていたみたいですし、、、)

ここ最近は役者の力量に任せて、
シンプルな舞台づくりの多かった蜷川幸雄ですが、
今回はいろいろ程よく凝っていたと思います。堪能できました。
個人的には凝った感じの時のほうがより好きです。
(ペリクリーズなんて最高でした。)
路線変更を(また)最近宣言されてましたが、これからも期待大です。

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「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」@Bunkamuraシアターコクーン
2005 2/5~28
作:清水邦夫 演出:蜷川幸雄  
出演:堤真一、木村佳乃、段田安則、中嶋朋子、高橋洋、田山涼成 ほか

Bunkamura http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/#


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ク・ナウカ「山の巨人たち」 [演劇]

演劇は日常できない体験をしにいくものでもあります。
たとえば死に直面する体験とか。
観るほうもそんな体験をしに足を運びます。

表現方法は劇団によって異なります。

静かな演劇といわれる平田オリザ氏の青年団は、
日常的な会話やしぐさの中に見事にすべり込ませて、
登場人物の非日常的な感情の振幅を、あくまで自然に(日常的に)表現します。
観るほうは自然に非日常空間へと導かれます。

一方、宮城聰氏のク・ナウカは、
舞台を屋外にしたり、無国籍な音楽が生演奏されたり、、、
非日常を表現するための舞台装置がはじめから用意されています。
観るほうは演劇の始まりから非日常空間に迷い込みます。

そんなク・ナウカの「山の巨人たち」も
あっと驚く手法で非日常空間に迷い込まされました。
こんな体験をしたくて演劇を観に来てたんだって、
久しぶりに思いました。。。

観客を煙に巻く。
観客だって傍観者じゃいられない。
普通に演劇観れると思ったら大間違い。
こういった感じは寺山修司を思い出しますが、
ク・ナウカも実はこういう路線だったんだ、と再認識しました。
(ク・ナウカのアプローチは現代的な軽さがありましたが。)

その辺も計算に入っていたと思いますが、意外性がありました。
例えば、寺山修司が今この芝居をやっても意外性がありませんから、、、
難しいところです。

作者はイタリアのピランデルロ。
こんなモダンな演劇が1920年代の作品というのは驚きです。
この時代、絵画の世界でもモダン・アートが登場した時代です。
そんなモダン・アートも当時保守派からはアートじゃないと言われたりしましたが、
現在は確固たる地位を得ています。
一方、ピランデルロの演劇はまだまだ前衛的に感じます。
それだけ演劇に行くという行為が今でも馴れ合いの関係になっているのかもしれません。
気をつけねば。

追記:
黒テントがピランデロ作品を2005年10月やるようです。

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ク・ナウカ「山の巨人たち」 じつは 「作者を探す六人の登場人物」 @ザ・スズナリ
2005 2/25~3/6
作:ルイジ・ピランデルロ(訳:田之倉稔) 演出・出演:宮城聰

ク・ナウカ http://www.kunauka.or.jp/


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NODA・MAP「走れメルス」 [演劇]

野田秀樹はかなり難解な作品が多いですね。
「走れメルス」も若気のいたりというか、、、かなりストーリーがないです。
(テレビでもう一度見直さなければ、と思っております。)

とはいえ、「赤鬼」ほど分かり易くても、
なんだか物足りないんですが。。。
(中心・周縁理論がそのまんま思い出されて、、、)

個人的には前作「オイル」くらいの分かりやすさが好みです。
でも、たまには「走れメルス」のような勢いのある作品をみるのもいいかも。。。

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「走れメルス」 @Bunkamuraシアターコクーン
2004 12/3 ~2005 1/30
作・演出・出演:野田秀樹
出演」深津絵里、中村勘太郎、小西真奈美、河原雅彦、古田新太、峯村リエ、濱田マリ、池谷のぶえ、小松和重、浅野和之、松村武、腹筋善之介、六角慎司、櫻井章喜

NODA・MAP http://www.nodamap.com/


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ヨーロッパ企画「平凡なウェーイ」 [演劇]

京都の劇団・ヨーロッパ企画
「12人の追いつけないアキレス」を観て面白い!と思い、
「サマータイムマシン・ブルース2003」でハマって以来、
よく観にいく劇団です。

パズル的な伏線がきっちりはまっていく作風が好きです。
あと、劇団員のキャラも。

過去の「S高原から」や「アンティゴネ」の記事でも死について書いたんですが、
今回のこの舞台もいきなり死からはじまります。
ただ、死との距離感は「S高原から」や「アンティゴネ」とぜんぜん違います。
なんだか必死に回避しようとしているというか、、、
そこがヨーロッパ企画らしいです。
(もちろん死をテーマにしている訳でもないですし、、、)

ここ最近実験作が多いような気がするのですが、
「サマータイムマシン・ブルース」のような正攻法がやはり楽しみ。

そんな「サマータイムマシン・ブルース」は
映画化(踊る大捜査の本広監督!)&夏に再演。
楽しみです。

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ヨーロッパ企画「平凡なウェーイ」@下北沢駅前劇場
2005 2/16-21
作・演出:上田誠
出演:永野宗典、本田力、石田剛太、中川晴樹、諏訪雅 ほか ヨーロッパ企画団員

ヨーロッパ企画 http://www.europe-kikaku.com/
サマータイムマシン・ブルース http://stmb.playxmovie.com/


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こまつ座「円生と志ん生」 [演劇]

紀伊国屋ホールにてこまつ座「円生と志ん生」観てきました。
これは傑作だと思います。
おもしろい!

勘違いがさらに勘違いを生んだりして、、、いつものパターンですが、
久しぶりに笑いました。
もっと若い人も観ればいいのに、、、といつも思います。

作者の井上ひさしさんが途中から観劇されていたんですが、
一緒に笑っておられました。

こんな笑いの奥に戦後の庶民の歴史が見え隠れするのが井上戯曲の魅力。
今回も戦後占領下の中国大連の日本人が描かれ、
しんみり胸に響く場面もいくつかありました。

青年団のひらたよーこさん初参加!青年団とまったく作風違うのに大奮闘。

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こまつ座「円生と志ん生」@紀伊国屋ホール
2005 2/5-27
作:井上ひさし 演出:鵜山仁 音楽:宇野誠一郎 照明:服部基
出演:辻萬長、久世星佳、宮地雅子、神野三鈴、ひらたよーこ、角野卓造

こまつ座 http://www.komatsuza.co.jp/


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ホリプロ「デモクラシー」 [演劇]

デモクラシー―戯曲

デモクラシー―戯曲

  • 作者: 常田 景子, マイケル・フレイン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 単行本

シアター1010にて「デモクラシー」を観てきました。
市村正親と鹿賀丈史の競演が話題です。
とはいえ、ミュージカルではありません。
ギョーム事件という東西冷戦下で起きた史実をもとにした舞台です。

主役以外も実力派を集めており、演劇を堪能できる内容となってました。
特に近藤芳正、今井朋彦よかったです。他に温水洋一、藤木孝とか。

今回は大人な舞台だったんですが、
市村正親と鹿賀丈史は今度は当て書きで魅力全開の競演して欲しいかな。
「YOU ARE THE TOP」は再演しないんでしょうか?

ところで、、、
本作にも登場の近藤芳正率いるダンダンブエノ
次回公演にオセロ松嶋が出演というのに惹かれます。
阿部ちゃんのときも面白かったし、、

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「デモクラシー」@シアター1010
作:マイケル・フレイン 演出:ポール・ミラー 翻訳:常田景子 装置:堀尾幸男 衣装:小峰リリー
出演:鹿賀丈史、市村正親、近藤芳正、今井朋彦、加藤満、小林正寛、
石川禅、温水洋一、三浦浩一、藤木孝

シアター1010 http://www.t1010.jp/
市村正親HP http://www.ichis.com/profile/
劇団ダンダンブエノ http://www.dandanbueno.com/top.html


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ク・ナウカ「アンティゴネ」 [演劇]

ク・ナウカの野外劇とはなぜか相性が合いません。
演劇自体ではなく、天気とですが。

一昨年の日比谷公園の「サロメ」は本降りの雨でした。
昨年の東京国立博物館「アンティゴネ」は、、、雨天決行のはずが台風で公演中止。
しかも最終日だったため振り替えもできず結局観れずじまいでした。
(昨年の台風は様々な被害をもたらしました。)

残念!、と思っていたら今年になってNHKにて
「アンティゴネ」の公演録画放送がありました。

「アンティゴネ」はソポクレスがギリシャ神話を元に描いた悲劇です。
演出の宮城聰さんは言います。

 悲劇とは「人はなぜか必ず死ぬ」という決定的な理不尽を突きつけてくる劇のことです。

ク・ナウカは「人が死ぬ」ということを古代劇にならって祝祭的に体験させてくれます。
この点、「S高原から」であくまで日常的にみせてくれた青年団の平田オリザさんとは対極的です。
ぼくはどちらも好きですが、、、

平田オリザさんは現代人は死と向き合う機会が減ったと言います。
ブロードウェイのハッピーストーリーもいいですが、
たまには悲劇を通じて死との距離感を確かめてみるのもいい気がします。

今年の野外劇は悲劇なのでしょうか?
無事観ることができるのでしょうか?
、、、、

ク・ナウカ http://www.kunauka.or.jp/

関連記事 : http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-01-04-1


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新国立劇場「城」 [演劇]

城

  • 作者: カフカ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 単行本


新国立劇場にて松本修演出の「城」を見てきました。
フランツ・カフカのの「城」を舞台化した作品です。

(昔、カフカの「城」を読み始めた直後、
未完と知って読むのをやめたことを思い出します、、、もったいないことをしました)

城を目指す主人公Kは、村人や役人達に阻まれてどうしても城にたどり着けない。
そんな村人や役人達の行動の不可思議さが奇妙です。

ただ、そんなこんながずーーーっと続いた上で、どうしても城にたどり着けないのに、
どんなに行く手を阻まれても城を目指し続ける主人公K、
その主人公Kの奇妙さが、終盤むしろ浮かび上がってくるようです。

3時間以上の舞台は長いようであり、
一方でこの終わらない物語からすれば短いようでもあります。

この終わらない話、KUDANProjectで見てみたい気がします。
(「真夜中の弥次さん喜多さん」も終わらない話でした)

井手茂太の振付、斉藤ネコの音楽どちらもよかったです。
音楽は生演奏だともっとよかったと思いました。。。贅沢だけど。。。

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「城」@新国立劇場 小劇場
2005 1/14-30
構成、演出:松本修 美術:島次郎 音楽:斉藤ネコ 振付:井手茂太
出演:田中哲司、石村美伽 ほか

新国立劇場 http://www.nntt.jac.go.jp/


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KUDANProject「劇終/OSHIMAI くだんの件」 [演劇]

夢と現実の間の深い世界を描いた名著
しりあがり寿「真夜中の弥次さん喜多さん」
この名著を舞台化したのが少年王者館KUDANProject

この舞台、、言葉遊びや反復、トリックを駆使して
夢と現実、過去と未来を行きつ戻りつしながら進みます。
マンガ同様、ディープなここちよい世界へトリップさせてくれました。

そんな少年王者館KUDANProjecの初期の作品
「くだんの件」を観に横浜まで行ってきました。

「真夜中の弥次さん喜多さん」で結実したいろんなアイデアの片鱗が
見え隠れしており、「真夜中の弥次さん喜多さん」同様楽しめる舞台でした。

はまります。

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KUDANProjecto「劇終/OSHIMAI くだんの件」@横浜相鉄本多劇場
2005 1/26-2/1
作・演出:天野天街
出演:小熊ヒデジ、寺十吾

KUDAN Project http://www.officek.jp/kudan/
少年王者館 http://www.oujakan.jp/


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PARCO劇場「なにわバタフライ」 [演劇]

PARCO劇場にて三谷幸喜脚本演出の舞台「なにわバタフライ」を観てきました。

ミヤコ蝶々の一代記ということもあり、
いつものシチュエーションコメディというより人情劇のような印象を受けました。
その分笑いはちょっと少なかったかな、、、?
お話はウェルメイド、さすがによくできたお話だと思います。
生演奏も心地よくいいアクセントになっていました。(これは絶対必要だった。)

今度はぜひシチュエーションコメディーが見たいです。

過去の作品で言えば、「バッド・ニュース☆グッド・タイミング」や
「アパッチ砦の攻防 完全版」のような、、、


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